私立大学に在籍中、休学するにあたり、実は必要となるのが休学中の学費。
通称「休学費」。
これはいざ休学するとなって、はじめて知る学生も多いようです。
海外留学、ボランティア活動、突然の怪我や病気、経済的な問題など、休学理由は人によってさまざま。
しかし、在学費や施設費、授業料年額やその他諸費用などを併せると、思いがけない大きな出費となるのです。
では、この休学費が払えない場合にはどうなるのでしょうか。
また払うことができない場合、どのような対処方法を取ればよいのでしょうか。
休学費が払えないと当然、休学することはできません。
また、経済的理由から学費・授業料が払えないまま放置した場合、除籍処分となることがほとんどです。
休学費用を用意出来ない場合には、半期だけ休学し、その間にアルバイトなどで足りない費用を稼いでいる学生が多いようです。
半期分の休学費すら捻出できないときには、カードローンを利用したり、仕送りで補填することも。
詳しくは本文を参考にしてください。
そもそも休学費とは?
休学とは、学校に在籍するものが学長からの許可を受けて、一定期間の間授業をうけないことを言います。
基本的には半期ごとあるいは一年ごとの休学となり、休学中は在籍期間としてカウントされないため「在学費(在籍料)」が必要になります。
また休学中であっても図書館などの施設を利用できるため「施設設備費」がかかる学校も多いです。
休学費とは、この「在学費」と「施設設備費」を言います。
金額についてはさまざまですが、「学費の一部」や「授業料の半額程度」になることが多いです。
ちなみに休学期間は最長4年で、それを超えると除籍扱いとなります。
また、多くの国立・公立大学では休学中の学費は免除(無料)されています。
よって休学費がかかってくるのは主に私立大学です。
休学する理由はどんなもの?
平成26年の文部科学省の状況調査によると、
参考:https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/10/__icsFiles/afieldfile/2014/10/08/1352425_01.pdf
この6万7千人のうち、10,486人(15.5%)の学生が、「経済的理由」を要因とした休学を申し出ています。
ちなみに海外留学を理由としてい人数は10,120人(15%)。
上記二つの休学理由はかなりの僅差ではありますが、「経済的理由」で休学している学生の方が少し多くなっています。
かなり酷な状況に…
学費が払えない、授業料が払えないなどの経済的理由を抱え、やむを得ず休学を申し出てもお金がかかってしまう…。
すでに金銭的に厳しく、奨学金制度や免除を受けられない学生にとっては追い打ちとも言える費用です。
休学費はすでに金銭的に厳しく、奨学金制度や免除を受けられない学生にとっては追い打ちとも言える費用です。
厳しい状況にさらに拍車をかけてしまう休学費は、いったいどのくらいかかってくるのでしょう。
休学費ってどのくらいかかるもの?
以下はほんの一部の有名な私立大学の休学費用となっています。
大学 | 休学費 |
慶應義塾大学 | 在学費6万+施設費(最低19万~最高34万) |
早稲田大学 | 半期5万円 ※申込期日に間に合わない場合は授業料全額負担 |
明治大学 | 半期8万円 |
立教大学 | 半期3万円 |
法政大学 | 半期5万円 |
東洋大学 | 一般施設設備資金+その他の費用(約23万円) |
関西学院大学 | 半期10万円 |
関西大学 | 半期3万円 |
立命館大学 | 1学期につき5000円 |
同志社大学 | 半期6万円 |
学部にもよって異なるケースがありますが、かなりまとまった金額が必要になる学校が多いようですね。
大学の学期はだいたい春からと、秋からの二期に分かれています。
一年間休学するとなるとほとんどの学校で10万以上の休学費がかかってしまいます。
外国語大学は無料が多い?
私立大学の大半でこのような巨額の休学費が必要になる一方、外国語大や外国語に関する学部などでは、休学についての制度が整備されていることが多いです。
実際に神戸外国語大学では年間通しての休学費が無料となっていますね。
背景としては、海外留学が多いことや、4年間で卒業する割合が低いことなどがあるようです。
参考:https://www.kobe-cufs.ac.jp/campuslife/procedure/procedures.html
休学費が払えないとどうなるの?
では、これらの休学費が払えない場合はどうなるのでしょうか。
もちろん休学できません
前述のとおり、主な休学理由は「経済的理由」です。
授業料の納入が間に合わず、休学するよう申し込んでから「それでは〇〇万円の休学費を支払ってください」と言われても、ほとんどの学生が支払えないだろうということは容易に想像できます。
さらに、休学費用の納入期間が決められていることも多く、結果的に休学をあきらめる学生が多いのです。
やがて除籍、自主退学へ
授業料などの学費を支払えないまま放置した場合、そもそも入学がなかったことになる「除籍処分」となる可能性があります。
どうしても納入できない場合は学生課などに相談することなどが一般的です。
納入のめどが立たず、除籍を免れない場合には「自主退学」すると、大学に入学したという記録を残し、同じ学年のまま、他の大学に転入することが一応可能となります。
このようなことからすると、アルバイトで稼いだり、生活費を工面したりしてでも、どうしても休学費や授業料が払えない場合には自主退学を考えたほうがよいでしょう。
休学費が払えないときにできること
それでは、休学費が払えないときに考えるべき対処方法をご紹介していきます。
自分の学部の休学費を調べる
休学するにあたり、まずは大学が個々に出しているページから、自分のケースで休学にかかる費用を計算しましょう。
表にもあったように、数十万かかるところから数千円、果ては無料の大学まで、各大学によって休学費の規定はさまざまです。
ただ、2016年10月に「日本女子大学を本気で変えようとした話。」というブログ記事が投稿されて以降、私立大学全体で休学費の見直しや改定が行われています。
まずはいったいどの程度の休学費がかかるのか調べましょう。
学費の1/2、1/4などと書かれている場合には、数字をあてはめて計算を行い、ハッキリとした金額を算出してください。
半期か一年かを決める
大学の休学費は半期ごとに定められています。
一年を通してだと大きな額ですが、半期ならある程度手を伸ばせそうな大学も多いです。
たとえば休学する理由が「自主留学」の場合には、すでにある程度お金が貯まっていることでしょうから、支払をしやすいはずです。
休学理由が「経済的理由」の場合は、まずは半期だけの休学願を出し、数か月間の短期集中、一気に稼いでしまう、というのも一つの手です。
カードローンを利用する
しかし、そうはいっても休学費がどこからも捻出できない場合があります。
そんなときには思い切ってカードローンを利用することも視野に入れましょう。
すでにアルバイトをしていて給与収入があれば、学生であっても利用できるカードローンが増えています。
返済プランや契約内容をしっかりと確認し、利息の高くない業者を選ぶことはもちろんのこと、休学費のうち足りない金額だけを借り入れるようにしてください。
親に仕送りをしてもらう
この記事を読んでいるのは、おそらく自分の力で現状を打破したい学生か、お子さんから休学についての相談を持ち掛けられている親御さんのどちらかだと思います。
上記のように、休学費は大学によって大きく異なっています。
親からの仕送り金を休学費に使う、というのは、学生からすると抵抗のあることではないでしょうか。
そんなときは、親御さんがそっと背中を押してあげてください。
きっと休学中の懸命なアルバイトや留学、就職活動やボランティアは、お子さんにとってすばらしい経験となるはずです。
学費が払えないときは
そもそも学費が払えなくて金銭的に厳しい、というときには、こちらのページで大学の学費の支払いについてまとめていますので、ぜひチェックしてください。
まとめ:あきらめないで行動すること
2016年10月に投稿されたブログの「日本女子大学を本気で変えようとした話。」については、実はその後おおきな進歩がありました。
この記事が大きな反響を生み、日本女子大学の休学費が2017年度から年間66万円から20万円へと大幅に改定されたのです。
年間20万円ということは半期にすると10万円です。
休学したい学生の経済的な負担はかなり軽減されたといえるでしょう。
参考:https://www.manazooooo.com/entry/2017/01/11/093345
上記のブログを発端として、私立大学の休学費の抜本的な見直しが行われていますが、未だ署名運動の起こっている大学もありますし、見直しの行われていない大学も少なくありません。
経済的理由から休学費を支払えない場合には、まずは学生課への相談・学費支払いの見直しを行ってください。
参考:https://滞納sos.com/education/daigaku/
それでも自分の力だけでなんとかしたい、しなければならないときもあります。
大学の紹介しているバイトや教育ローンなどの使用も視野に入れて、決してあきらめずに行動するようにしてください。
監修者:福谷陽子 元弁護士 ライター >プロフィールはこちら |