あなたがもしもマンションにお住まいであれば、毎月かかってくる費用のひとつとして「マンション管理費」という項目がありませんか?
これは家賃やローンのほかに、住んでいるだけで必要な費用です。
中古マンションなどではかなり割高であることも多くて、何かと後回しにしてしまうことの多い項目なんですよね。
- 「そもそもマンション管理費って何?本当に払わなくちゃいけないの?」
- 「滞納したらどうなるの?」
実はマンション管理費を滞納してしまうと、最終的に住宅が競売にかけられてしまうこともあるのです。
このページではマンション管理費を滞納してしまった場合や、支払いができないときの対処法などについてご紹介していきます。
マンション管理費を滞納すると、最悪の場合には強制執行などの法的措置が取られます。
財産や給与の差し押さえが行われたりマンションが競売にかけられたり、裁判所の費用を請求されたりするケースがあります。
こうした事態を避けるためには、
- 早期段階での管理者側への相談と連絡
- どうしても払えないときには売却を検討
などの方法で解決しましょう。
詳細は本文を参照してください。
マンション管理費とは?
マンションには他に住んでいる人との共有する場所があります。
例えば、廊下やエレベーター、階段、駐輪場、機械駐車場などです。
これらの点検や清掃など、主にメンテナンスのために「(維持)管理費」が必要となります。
また、マンションも年を重ねるごとに老朽化していきます。
それに伴う壁のひび割れや水道管の補修工事などの修繕にあたり、「修繕積立金」という積立金が必要ですす。
一般的にはこれら「(維持)管理費」と「修繕積立金」の合計が「マンション管理費」と呼ばれています。
高すぎず安過ぎず、法律で定められています
この管理費の支払いについては、区分所有法という法律で定められた居住者の義務となっています。
マンションの規模や併設されている施設、土地や地域によって管理費はさまざまで、月々数千円~数万円にまで差があります。
また、立地などによってはひと月4万円やそれ以上の管理費用がかかることもあります。
ただし、あまりに安すぎても清掃が行き届かないことなどがあり、高すぎても安すぎてもいけない費用と言えます。
管理費の平均はどれくらい?みんな支払ってるの?
このように、規模や地域、経過年数や立地などによってまったく金額の異なるマンション管理費。
平成25年度の国土交通省の「マンション総合調査結果」によると、それぞれの平均額は以下のとおりです。
- 管理費の平均:15,257円
- 修繕積立金の平均:11,800円
これらを合計すると27,057円となります。
平均すると月々およそ3万のマンション管理費がかかるということです。
法律で定められている以上仕方がないとはいえ、毎月かかる生活費とあわせても、かなり大きな出費となるでしょう。
参考:https://www.mlit.go.jp/common/001037084.pdf
管理費の滞納が問題になっている
では実際のところ、マンション管理費を滞納している居住者はどの程度いるのでしょうか。
前項と同じ国土交通省の調査結果では、3か月以上に及ぶ管理費の滞納が発生しているマンションは、全体の37%にも及んでいます。
6か月以上の滞納では22.7%、1年以上の滞納が15.9%と、全国的に見ても決して少なくない割合で滞納があることがわかります。
ちなみに、月3万円のマンション管理費を1年間滞納すれば36万円。2年では72万円です。
そこまで滞納してしまうと、流石においそれと払える金額ではなくなってきています。
マンション管理費を滞納するとどうなる?
それでは、このようにマンション管理費を滞納するとどうなるのでしょうか。
滞納して2~3ヶ月経つと、「滞納理由」の問い合わせがくる
マンションの管理人がいる場合は口頭で、連絡が取れない場合には文書で、マンション管理費を滞納している理由を訊ねられます。
この時に応答し、払いたくても払えない理由をきちんと説明しておけば、2~3ヶ月程度は支払い猶予を設けてくれる管理組合がほとんどです。
滞納額が10万~20万を超えると、「返済計画書」の提出を求められる
滞納している金額が管理組合の認容できる限度を超えてしまったときには、管理人から「返済計画書」の提出が求められます。
この限度の金額はマンションの規模によっても異なりますが、一般的には10万円以上の滞納が目安となります。
10万以上ということは、少なくとも4ヶ月~半年以上滞納している場合です。
問い合わせに応答しない場合
この返済計画書の提出もなく、管理者からの問い合わせにも応じないときには、「督促状」が送付されます。
滞納額が50万を超える場合、法的措置がとられる可能性が高い
マンション管理費は前述したとおり、法律で定められた支払い義務のあるものです。
よって、裁判所に訴えられ、法的措置を取られてしまう可能性も十分にあります。
督促状や、その後に郵便局から送付される配達証明郵便も無視した場合、管理者から「悪質な滞納者」とみなされます。
最悪の場合、強制執行などの法的措置が取られる可能性が高いです。
住居が強制競売にかけられ、立ち退きを迫られ…
悪質な滞納者と判断され、管理組合が裁判所に「支払い督促」「簡易訴訟」などの申し立てをした場合、マンションが強制競売にかけられます。
強制競売が決まり、「競売開始決定通知」が届いてから約半年ほどで立ち退きを迫られることとなるでしょう。
住宅ローンを完済出来なかった場合には、競売後も多額の残債が残る可能性があります。
また、競売によっても滞納している管理費を支払えなかった場合、最終的には給与や財産の差し押さえが申請されます。
この場合、滞納額を一括でまとめて支払うほかに、差し押さえを回避する方法はありません。
マンション管理費の支払いができないときはどうすればいい?
では、どうしてもマンション管理費が支払えない・すでに滞納してしまっている場合はどのような対処をすればよいのでしょうか。
管理者からの問い合わせに応じる
まずは管理者に正直に、「マンション管理費が払えそうにない」ということを話しましょう。
先立って話しておくだけですが、滞納してからの事後報告となるよりも、管理者も状況把握がしやすく、印象がよくなります。
管理者側からも分納の案内や、支払い期日の延長などの提案がしやすくなります。
すでに滞納してしまっている場合には、その理由もあわせてしっかりと口頭で説明するとより効果的です。
いつまでに支払えそうか、具体的な時期を連絡する
管理費の滞納がある人は住宅ローンなど、他にも負債を抱えている場合が多くあります。
自分にムリのない範囲で返済計画を立て、速やかに管理者に連絡しましょう。
設定した支払い期日に間に合わないときには、こちらもすみやかに管理者に連絡するようにしてください。
滞納分を一括で支払うよう求められたときは
支払い期日に間に合わず連絡を怠ったり、滞納しつづけたりした場合には、一括で滞納金を支払うように求める督促状が送付されることがあります。
これは管理者側が指定した期日までに、滞納した管理費を一括で支払うよう求めるものです。
これを受けても返済しない場合には、法的措置が取られ給与や財産が差し押さえられたり、マンションの競売申立が行われたりする可能性があります。
こんなときは、督促状を受け取った段階で管理者と連絡を取り、できるだけまとまったお金を支払うようにしてください。
お金が用意できない場合には消費者金融カードローンなどで借りるという手段があります。
しかしすでに滞納して何か月も経過している場合にはお金を借りられない・借りたとしてもさらに生計を圧迫することになりかねません。
督促状が送付される前に、必ず管理者との相談、分納する場合には返済計画を立てておくよう心掛けてください。
売却を検討する
滞納額が膨れ上がり、お金を借りることもできず、管理費を支払えない場合には、マンションの売却を検討してください。
また、すでに競売の申し立てがされていて売却できない場合、早期段階であれば任意売却を検討してください。
管理費を滞納しているマンションを売却すると、それまでに滞納したマンション管理費用は滞納者のみならず新しい買主も支払わなければならないので、マンションが売れにくくなります。
また、売却の際には必ず滞納している事実を買い主に伝えなければなりません。
競売申立をされているときには、管理者側から諸費用(弁護士・申立費用など)を請求されることもありますので、滞納額以上の大きな負担がかかることになります。
まとめ:早期相談がトラブル回避の秘訣
段階を踏んで解決策をご紹介してきましたが、とにかく「払えない」と分かった段階ですみやかに管理者に相談することが、最悪のケースを避ける手段となっています。
また、マンション管理費は分納することも可能です。
払えないからといって問題を先送りにしていると、まとまったお金を用意しなければならなかったり、立ち退きを迫られることになります。
こうした事態を避けるためにも、早い段階での連絡・相談を行うよう心掛けましょう。
監修者:福谷陽子 元弁護士 ライター >プロフィールはこちら |