水道料金は2ヶ月に1回の請求とする自治体が多く、どうしても毎月の支払いとして確保しておくお金から外れてしまいがち。
いざ止められてみると、風呂に入れずトイレを流せない…とても不便だとわかりますよね。
水道は基本的に自治体の事業で行われています。
民営経営の電気やガスよりも、猶予してもらえる可能性があるのも確かです。
そこで、水道料金が払えず止められるまでと、その対応策を解説します。
自治体の条例等により、給水停止や滞納までの対応は異なりますが、概ね次のような流れで進んでいきます。
- 滞納すると督促
- 督促でも払わないと催告
- 給水停止予告と給水停止通告
- 給水停止処分の執行
詳しくは本文を参考にしてください。
水道料金を滞納すると督促される
水道料金の納入期限は自治体によっても異なりますが、一般的にそれほど長くはありません。
これは、水道料金が2ヶ月に1回の請求ということもあって、納入期限を長くするのが適切ではないため。
水道料金を毎月徴収する自治体では、長めにしているケースも見られます。
例えば、東京都(2ヶ月に1回)では納入通知書の発行日から10日(払い込みで支払う場合)となっており、長くても15日程度の納入期限にしている自治体が多いです。
滞納整理事務とは?期限つきの督促状が送付されたら注意
納入期限までに払わず滞納すると、どのような自治体でも「滞納整理事務」と呼ばれる定められた手順によって請求が行われます。
最初に行われるのは滞納者に対する督促で、新たに納入期限が指定された「督促状」または「未納通知書」が送られてきます。
督促状(未納通知書)に記載された納入期限までに払わなくても水道は止まりませんが、滞納履歴が多い場合には、止められるまでの期間が短くなる可能性もあります。
どのくらいまで滞納できる?
水道代の請求は2ヶ月に1回ですが、厳しい自治体でなければ4ヶ月分までは、滞納しても止められずに済むケースが多いです。
しかし、6ヶ月分滞納するのはかなり難しくなります。
6ヶ月分滞納ということは、最初の請求から4ヶ月も経っているということです。
このような場合、滞納者は後述する給水停止予告を受けていることが多いです。
水道代をお4ヶ月分滞納したら、近いうちに最初の2ヶ月分を払わないと水道の利用が厳しくなります。
自治体によっては催告される
督促されても水道が止まらないことを知っている滞納の常習者は、何度督促が来ても支払いに応じないものです。
だからといって、自治体が手をこまねいているわけではありません。
通常、催告は新たに納入期限を指定した催告書の送付で行われます。
自治体によっては電話連絡や職員による訪問、滞納者の呼び出しによって納入を指導します。
催告を受けた場合、そろそろまずい状況となっていますから、本気でお金の都合を付けるべきです。
催告しない自治体もある
催告書送付以外の催告は人件費を伴うこともあって、行わない自治体もあります。
催告しない自治体では、次の段階となる給水停止予告に移行します。
公共サービスとはいえ、利用者の不公平感を払拭するためには、水道料金の滞納者へ厳しく対処する必要があります。
催告がない場合、催告に対する納入期限が設けられないため給水停止までの期間が短くなります。
給水停止予告と給水停止通告
催告(催告しない自治体にあっては督促)によっても、滞納者が払わないときは給水停止予告されます。
ここまで来ると完全にイエローカードで、給水停止予告通知書によって新たに納入期限が指定されます。
給水停止予告通知書は、送付される場合もあれば訪問して手渡される場合もあり、自治体の対応しだいです。
給水停止予告通知書が送られるほどの滞納者は、悪質だとみなされています。
給水停止までのカウントダウンが始まったと思いましょう。
そして、給水停止予告通知書で指定された納入期限までに払わないと、いよいよ給水停止の前段階である給水停止通告です。
納入期限が新たに設定されますが、給水停止通告は最終通告に該当します。
給水停止通告がない自治体もある
給水停止通告があるならば、給水停止予告が単なる警告に過ぎないことになります。
それでは何のために予告するのか意味がないので、給水停止通告をしない自治体もあり、いきなり給水停止されます。
予告から通告の手順を踏む自治体は単に慎重なだけです。
そもそも「払わないと止めますよ」と予告しているのですから、自治体としてもわざわざ最終通告をする必要がありませんよね。
給水停止予告通知書が届いた時点で対応すべきです。
給水停止処分の執行
給水停止通告(自治体によっては給水停止予告)すら無視した場合は、給水停止日に水道が止まります。
水道が止まったことは、給水停止通知書によって通知されます。
給水停止処分が決まると、滞納者が不在でも関係なく水道は止められてしまいます。
外出から戻って給水停止通知書が入っていたら、ほぼ水道は止まっています。
給水停止の具体的な方法も自治体で異なり、多くはメーター手前の止水栓を閉栓する方法で止められます。
滞納が悪質な場合はメーターごと撤去されることもあります(普通は家の解体等で使用中止を連絡しない限りメーターは撤去しないものです)。
なお、水道を止める前に、最後のチャンスとして給水停止通知書が先に渡されたり、事前通知をしたりする自治体もあります。
これは、相当に慎重な一部の自治体の判断で行われているものですから、常に期待できるものではありません。
クレジットカードで支払っている場合は要注意!
特に、水道料金をはじめ公共料金をクレジットカードで支払っている方は注意が必要です。
残高不足などでクレジットカードの支払いができないと、当然クレジットカードの利用ができなくなります。
そればかりか長期に渡り支払いを滞納すると、信用情報に事故情報として登録されることになります。
これはいわゆる「ブラック入り」とされる状態を指します。
一度信用情報に傷がついてしまえば、その後5年以上の間、新たにクレジットカードを作ることも、ローンを組むこともできません。
またスマホの機種代金を分割払いにはできなくなりますし、お金を借り入れる審査にも落ちてしまうことになります。
カードやローンが使えなくなり、更に水道までストップしてしまうというのは最悪の事態です。
どうしても払えない場合には、以下の方法を実践していってください。
水道が止められそうなときの対応策
水道は重要なライフラインですから、自治体が水道を止めてくるのは、滞納が長期間に及び、高額になっているときです。
払えるのに払わない人は論外ですが、どうしても払えない滞納者まで、問答無用で止めるほどの強硬な対処はしないケースが多いです。
水道を止められそうな場合事情をきちんと話し、払う意思を見せることで分割払いにしてもらえたり引き延ばしてもらえたりする可能性があります
対応策は以下の4つです。
- 待ってもらえないか相談
- 減免制度を利用する
- 分納にしてもらう
- 借りてでもお金を準備
待ってもらえないか相談
早ければ督促状が来た時点で、遅くとも給水停止予告通知書が来た時点で(給水停止通告は来ない場合もある)、待ってもらえないか水道局等に相談しましょう。
給水停止を待ってもらうためには、払う意思があること、払えない事情があることの両方が必要です。
給水停止が猶予されるのは、概ね次のような条件です(自治体で異なります)。
- 現に生活が困窮している
- 病気やケガで払えない場合
- 災害で財産が失われ払えない場合
- 納入の約束(納入誓約書へのサインなど)をする場合
- 一部納入によって全部納入が期待できる場合
もちろん嘘をついてはいけません。
本当にやむを得ず払えない事情があればきちんと伝え、いつまでに払えそうか懸命に訴えることです。
納入誓約書を求められても、拒める状況ではありません。
最後の「一部納入によって全部納入が期待できる場合」は、給水停止すれば全く払わないかもしれない滞納者でも、一部納入と給水停止の猶予を交換条件に後で全部納入をする場合です。このような場合、早期回収を期待できることから支払いが猶予されます。
水道料金の減免制度を利用する
水道局によっては、条件に該当した方に対して水道料金の減免を行っているところがあります。
例えば東京都水道局では以下のような場合、水道料金・下水道料金基本料金などが免除されます。
- 生活保護を受給している方(生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助)
- 児童扶養手当、特別児童扶養手当を受給している方
- 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進 並びに 永住帰国した中国残留邦人等 及び 特定配偶者の自立の支援に関する法律による給付を受けている方(生活支援給付、住宅支援給付、医療支援給付、介護支援給付)
また、老齢福祉年金を受給されている方は下水道料金が免除されます。
水道を多く使用する業種では、申請を行うことで水道料金、下水道料金の減額を行えます。
これらは東京都水道局で行われているものですが、大阪市水道局などでは廃止されています。
申請の際には公式HPなどから詳細を確認した上で行うとスムーズです。
参考:https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/tetsuduki/ryokin/genmen.html
分納にしてもらう
水道料金は一括納入を原則としていますが、分納しかできないほど収入が悪化している滞納者については、分納の相談も受け付けてくれます。
給水停止の猶予とも関係してくるのですが、一部納入である分納によって、最終的に全部納入してくれれば、そのほうが良いとする考え方です。
分納するときには、とりあえず1ヶ月分を納入、残りは分納などといった、分納計画を作って納入を誓約します。
滞納額の1割程度払うと、残りを分納できる自治体もあるので、分納の相談は積極的にしてみるべきでしょう。
滞納分以降の水道料金は、納入期限内に払うことを分納条件としている自治体もあります。
借りてでもお金を準備
何度も滞納を繰り返している方のケースなど、自治体に言っても相談に応じてもらえないときには、借りてでもお金を準備して払うしかありません。
たかが水道代でと思うかもしれませんが、借りてでも払うのには2つ理由があります。
1つ目の理由は、水道の開栓は手作業で行う性質上、開栓手数料を取る自治体があることです。
金額は500円程度から4,000円以上に及び、自治体によって様々で、1ヶ月分の水道料金よりも高いことがあるのです。
もう1つは、水道料金の滞納に遅延損害金(下水道使用料は延滞金)を取る自治体があることです。
川崎市の遅延損害金について
参考:https://www.city.kawasaki.jp/templates/outline/800/0000059482.html
開栓手数料や遅延損害金がある自治体では、余計な金額を払うことになるため、少しの利息なら借りてでも先に払ったほうが得になります。
まとめ いつまでも滞納すると悪質な顧客と判断される
- 督促
- 催告
- 給水停止予告
- 給水停止通告
- 給水停止
実際に給水が停止されるまでの猶予は、滞納後4か月程度という比較的長い期間となっています。
ですが、甘く考えていつまでも滞納していると、滞納履歴から悪質な顧客と判断されるおそれがあり、得策でないことが確実です。
滞納して払える予定もないなら、なるべく早く相談しましょう。
監修者:福谷陽子 元弁護士 ライター >プロフィールはこちら |