「参ったぁ…仕入れの代金が払えない…」
経営者であれば、キャッシュフローが回らずに苦しんだ経験は誰でもあるはずです。
仕入代金や買掛金が払えず、困っている…という事業主は少なくありません。
このページでは払えなくなってしまった場合の解説と、あなたに合った解決策をお伝えします。
仕入代金や買掛金が払えなければ「債務不履行」となって訴訟を起こされる可能性があります。
最終的には、会社の資産を差し押さえられてしまいます。
そうならないための解決法としては、
- 相手先の企業に分割や先延ばしの相談をする
- 銀行へ融資を頼む
- 「ファクタリング」で資金を調達する
という方法があります。詳しくは本文を参考にしてください。
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払えないと訴えられることも
まずは、仕入代金や買掛金が払えない場合、どうなるのかについてご説明します。
「債務不履行」で訴えられる可能性がある
最初から払わないつもりでいたのであれば「詐欺」ですが、最初は約束の日までに払うつもりでいたものの、経営状況が悪化したりキャッシュフローが回らなくなったりして、仕入代金や買掛金が払えなくなってしまったのであれば、民事上の「債務不履行」という扱いになります。
債務不履行になると、刑事事件ではありませんが、金額の大きさや過去の支払い状況によって、民事で訴えられる可能性はあります。
また、あなたの対応次第では相手が「詐欺」と主張してくる可能性も考えられますので注意が必要です。
自宅を差し押さえられることも・・・
通常、法人の負債であれば、社長であっても、自宅や自家用車など個人の財産を差し押さえられることはありません。
ただし、取締役に恋や重過失がある場合には、会社債権者から損害賠償請求をされ個人の財産を差し押さえられてしまう場合もあります。
会社法により役員責任(取締役の第三者責任)を追及されればの話にはなりますが、可能性はゼロではありません。
計画的に払わないと思われてしまう要素
あなたに悪意はなかったとしても、次のような要素があると計画的に払っていないとみなされてしまう可能性はあります。
- 他にも未払いを重ねている仕入れ先がある
- 電話をしても居留守を使う、FAXやメールに応答しない
- 連絡もなく事務所を移転する
状況によっては払わずに済む方法もある
どうしても払えないけれど裁判になったり差し押さえられたりするのは困る…という方はどうすればいいのでしょうか?
解決策は次の4つになります。
- 相手先へ分割や先延ばしの相談をする
- 銀行へ融資を頼む
- 「ファクタリング」で資金調達をする
- 2年以上経っていたら「消滅時効」で処理することも
相手先へ分割や先延ばしの相談をする
あなたの会社の経営状態が悪いように、もしかしたら相手の企業もあなたが仕入代金や買掛金を払わないことで経営が悪化している可能性もあります。
だとすれば、このまま払えない状態が続けば相手先も連鎖倒産という事態に追い込まれることにもなりかねません。
「払えない!」とわかっていながらギリギリまで連絡もせずにいるのは、自分だけでなく他の会社にも迷惑をかける結果になります。
まずは相手先へ分割や先延ばしの相談をしてみましょう。
銀行へ融資を頼む
- 「やはり相手先に相談するのは無理」
- 「相談したけど断られた」
こういった場合は、銀行融資を受ける方法を考えてみましょう。
赤字だと銀行は融資をしてくれない、と思っている経営者の方も多いと思います。
しかし日頃から取引のある銀行や借入をしている銀行、役員や家族の口座のある銀行であれば、「取引先の会社が倒産…」という事態は避けたいので、融資に応じてくれる可能性はあります。
「ファクタリング」で資金調達をする
- 「銀行で融資が受けられない」
- 「赤字ではないが一時的に資金繰りが難しくなった」
- 「融資がおりるのを待っていられない」
こういった場合なら、売掛金を買い取ってもらう「ファクタリング」という方法もあります。
「ファクタリング」とは、あなたの会社で持っている売掛債権を買い取ってもらう金融サービスで、中小企業の資金調達法のひとつです。
ファクタリングは、もともとはアメリカで19世紀末から20世紀初頭に始まったものです。
融資の場合は返済しなければなりませんが、ファクタリングは売掛分のお金をファクタリング会社(ファクター)から先払いしてもらうので、返済の必要がありません。
ファクタリングは「債権譲渡」の1種です。
- 返済をしなくていい
- 売掛債権の範囲内で現金化できる
- 早ければ1日で現金を手にできる
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2年以上経っていたら「消滅時効」で処理することも
商品の仕入代金などを掛け払い(売掛金・買掛金)にした場合、一定期間請求がなければ相手は代金を請求する権利である売掛金を失います。
このことを「消滅時効」といいますが、商品仕入代金の売掛金の時効期限は2年です。
ですので、支払えなくて困っている買掛金が2年以上請求されていないのであれば、時効は消滅しています。
ただし、途中で裁判をされると、時効期間が10年間延長されますし、差押をされる可能性もあります。
また、支払いをしないで放置していると、信用を失います。会社経営には資金力も大切ですが、長続きさせるためには金融面における信用も獲得していかなければいけません。
未払いの代金がある場合、「ファクタリング」や「ビジネスローン」など、事業用資金を準備する際の足かせになってしまうこともあります。
「時効の援用」をすることで正式に支払わなくてもいいことに
売掛金を支払わずに2年が経過したときにも「2年が過ぎたからチャラね」と単純に済ませることはできません。
正式に相手の請求する権利が消滅するには、相手先に時効制度を利用する旨を伝える「時効の援用」というステップを踏まなければならないのです。
といっても、手続きそのものは決して難しくありません。
ポイントは時効援用することを記した書面を「内容証明郵便」で送ること。
ただし、相手先に内容証明が届けばそれで時効が成立するわけではなく、金額が大きくなれば「時効は認めない」として訴訟を起こしてくる企業もあります。
ですので、支払額が多いのであれば初めから司法書士や弁護士など専門家に依頼したほうがいいかもしれません。
まとめ 会社のお金の管理の見直しを
売掛・買掛取引については、キャッシュフローをきちんと把握しておかないと、倒産に直結する可能性があります。
「ピンチはチャンス」でもあります。
今後の経営方針を見直すよい機会だと前向きに捉えましょう。
- 「販売管理費を減らせないか?」
- 「在庫を減らすにはどうすればいいか?」
- 「遊ばせている固定資産はないか?」
- 「増資はできないか?」
細かいことですが、こういったことを見直してください。
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監修者:福谷陽子 元弁護士 ライター >プロフィールはこちら |