予定していない妊娠をしてしまった…産むわけにはいかないけど中絶するお金もない。
こんなとき、どうしたら良いのでしょうか。
最も知っておきたいのは、生命を尊重する観点から、中絶できる期間は限られているということです。
お腹が目立ち始める頃になると、もう手遅れかもしれません。
妊娠がわかったら迷っている時間はないのが中絶手術です。

中絶費用が払えないときに知っておきたいのは以下の3つです。
- いつまで中絶できる?
- 費用はどのくらいかかる?どうやって中絶するの?
- 公的な助成は受けられる?
詳しくは本文を参考にしてください。
いつまで中絶できるのか?中絶可能な期間について
母体健康法の規定により、中絶は「胎児が母体外において生きていられない時期」までしかできません。
そして、中絶可能な時期は「妊娠22週未満」です。
以前は、妊娠22週よりも長い期間でした。
しかし医療技術の発達で、未熟児の生命維持についても向上した影響を受けて、現在の妊娠22週未満に短縮されました。
ただし、実際の場面における判断は医師に任されています。
これは、胎児の発育状況が個別に異なるからです。
医師の医学的観点から判断するのが適切で、何が何でも妊娠22週未満を基準とするものではありません。
妊娠の時期は以下のように分類されます。
- 妊娠初期:妊娠12週未満
- 妊娠中期:妊娠12週~22週未満
- 妊娠後期:妊娠22週以降
上記のように、妊娠は時期によって分かれ、妊娠22週以降にあたる妊娠後期では原則として中絶はできません。
例外的に、母体に危険が及び、中絶以外の方法では母体を救うことが難しい場合に限り、救命行為として中絶もあり得ます。

病院に行かない場合のリスク
既に説明のとおり、中絶には可能な期間があります。
病院に行かないと妊娠何週目かもわかりませんよね(推測は可能かもしれませんが)。
妊娠を望んでいる人は、妊娠をしていなくても検査をしますので早く気付きやすいですが、予定外に妊娠した人、しかも普段から生理不順の人はどうしても気付くのが遅れがちです。
後期まで発見が遅れたら、もう産むしかありません。
また、胎児の発育状況がどのようになっているのか、確認しないのも大きなリスクです。
胎児の危険は、妊婦であるあなたの危険でもあることを考えれば、放置できないのは明らかでしょう。
中絶費用の相場と中絶方法
中絶費用は健康保険(社会保険、国民健康保険)の適用になりません。
そのため、中絶費用は思いのほか高く、蓄えがなければ払えないのも無理はない金額です。
- 中絶手術の大まかな流れについて
- 妊娠初期の中絶費用と中絶方法
- 妊娠中期の中絶費用と中絶方法
初期中絶と中期中絶では、費用相場も方法も全く異なるので、分けて説明していきます。
なお、初期と中期の境界が、厳密ではないことに注意してください。胎児の発育状況しだいです。
中絶手術の大まかな流れについて
11~12週目までの初期妊娠中絶の場合、手術自体にそれほど時間はかからず、一般的に日帰り~1日入院程度で行われることがほとんどです。
中期以降は手術方法が少し変わり、数日間の入院が必要になりますが、手術をする前日やその後のケア方法については殆ど同じになっています。
手術の大まかな流れは次のとおりです。
受診、事前検査を行う
まずは産婦人科で診察、常用している内服薬、アレルギーなどについて問診を受けます。
その後尿検査、血液検査、エコー検査など各種検査や健康診断を行ったのち、手術日を決定します。
手術当日にはパートナーの署名入りの同意書の提出が義務付けられていますので、できるだけパートナーと一緒に来院するのが望ましいでしょう。
事情や状況はそれぞれ異なるかもしれませんが、精神的な負担を避けるためにも、必ず一人で受診するのではなく、家族やパートナーについていてもらってください。

手術前日の準備
多くの病院の場合全身麻酔による無痛手術となるため、手術前夜の21~24時以降は飲食ができません。
絶飲絶食を指示されたときには水を飲むこともできませんが、手術と母体の安全を期すためにも、必ず医師に従って飲食は控えてください。
また手術後はシャワー浴のみとなりますので、入浴もきちんと済ませておくようにしてください。
当日持っていく準備物は以下のとおりです。
- 中絶手術の同意書(パートナーの署名入り)
- 生理用のナプキン(夜用)、もしくは生理用ショーツ
- 術後の飲み物
手術当日の流れ
手術当日は上記のチェック項目をしっかり確認してください。
これは手術中に無意識に身体を動かしてしまい、ケガをしてしまうなどトラブル防止のためです。
また、病院にはできるだけ余裕を持って到着するようにしましょう。到着したら、血圧、脈拍、体温を測定します。
また、来院時に会計を済ませてしまう場合には、前日までにお金を用意しておく必要があります。
また事前処置として、海藻成分でできたラミナリアという器具を子宮口に入れ、頸部を広げることがあります。
ラミナリアは水分を吸うと膨張し、子宮口を広げて手術をスムーズにするための器具です。
人によってはお腹がはったような、酷い生理痛のような痛みを伴うことがあります。
その後、精神安定剤などを点滴で投与したうえで、膣の消毒、全身麻酔、手術へと至ります。
手術後のケアについて
手術後のケアについては上記のチェック項目をしっかり確認してください。
特に手術直後は可能な限り誰かに送迎してもらうなど、安静に体を休めることが重要です。
また、子宮収縮剤、抗生物質など、医師から処方された薬は必ず指定された通りに飲んでください。
1か月~1か月半後に生理が来れば、子宮が正しく回復しているという証拠です。
子宮が回復していない状態で膣に刺激を与えたり、性行為によって細菌に感染してしまったりすると、不妊症となる恐れがあります。
2か月以上生理が来なかったり、手術後の出血が止まらなかったりする(もしくは出血が少ない場合も)時には、随時病院に連絡のうえ、受診するようにしてください。
医師からの指示を守って安静を心掛けてください。
妊娠初期(妊娠12週未満)
初期中絶の費用相場は、10万円~18万円程度です。
差があるのは、病院によって費用が異なること、胎児の大きさで手術の難易度も変わってくるためです。
初期中絶の方法には、掻爬法(掻把法)と吸引法があります。
いずれも子宮の内容物を器具で取りだすのですが、掻爬法は掻き出して、吸引法は吸い出す違いがあります。
また、子宮頚管(出口)を広げるために、ラミナリアを使用する場合もあります。
(※ラミナリアとは、子宮頸管の拡張等に使う医療器具です)
妊娠初期の場合、手術は30分程度で、即日帰宅も可能です。
ラミナリアを使う場合、1日くらいは時間を取られることで、1日入院の翌日手術となるでしょう。

妊娠中期(妊娠12週~22週未満)
中期に入ると、いくら小さいとはいえ胎児が大きくなっていることで、子宮頚管を広げるラミナリアによる処置が必須です。
また、妊娠中期では「分娩」となり、中絶ですから人工的な死産という扱いに変わります。
したがって、陣痛を誘発する薬を使い、強制的に陣痛を起こし出産する流れは、通常の出産とほとんど変わりません。
費用も出産と同じようにかかり、相場は30万円~50万円で、2日~3日は入院を余儀なくされます。
ただし、中期中絶は「産んでいる」ので、後述するように出産育児一時金の対象になる点では、初期中絶と大きく異なります。

中絶費用の負担を減らす方法
中絶が保険適用にならないことで、保険診療に自己負担限度額が設定される「高額療養費制度」は使えなくなります。中絶費用の負担を減らす方法は2つです。
- 出産育児一時金
- 医療費控除
出産育児一時金
出産育児一時金は、健康保険から出産にまつわる費用として一時金を支給してもらえる制度です。
例えば、会社勤めなら会社が加入する健康保険組合(協会けんぽなど)から支給を受けられます。
自営業や無職なら国民健康保険なので自治体に申請すると支給されます。
支給額は40万4千円となっています。
出産育児一時金の支給対象は、妊娠中期に限られています。(妊娠初期は対象外、妊娠後期は中絶不可)
中期中絶の費用相場は30万円~50万円ですから、ほとんどは出産育児一時金でカバーできるでしょう。
また、中絶費用には保険適用されませんが、保険から支給される出産育児一時金の対象にはなります。
これは、中期中絶が「死産」と扱われるためです。
支給方法については、病院に直接払ってもらう直接支払制度。
もしくは一旦は自己負担して、後から申請で受給する方法から選ぶことができます。
病院に直接払ってもらう
直接支払制度を利用する場合、病院にある合意文書(病院にあります)を取り交わし、中絶費用から出産育児一時金を引いた金額で請求してもらいます。
中絶費用が出産育児一時金よりも安いときは、健康保険組合や自治体に申請して差額を受給できます。
後から申請で受給する
一旦は全額自己負担となるため、まとまったお金を用意しなくてはなりませんが、事前の手続きが不要になります。
ただしこの場合、健康保険組合や自治体に申請しないと出産育児一時金は支給されません。
医療費控除
中絶費用の負担を直接減らすことにはならないですが、一定額以上の医療費は、翌年の確定申告で所得から控除することができます。
一定額とは10万円(所得が200万円未満なら所得の5%)で、中絶費用の相場を考えると、ほぼ医療費控除の対象になるでしょう。
例えば、中絶費用が30万円だとして、10万円を超えた20万円分については、その年の所得税計算の際にに控除することができます。
もし、中絶した年の所得が300万円なら、医療費控除で所得は280万円と計算されます。
その結果、医療費を控除できた部分に対する税金が節約できます。
自営業者の場合には支払う税金が安く済みますし、給料を貰っている会社員などの人は、既に源泉徴収されているので払い過ぎた税金が還付されます。
なお、出産育児一時金を受給している場合は、中絶費用から出産育児一時金を引いた金額が、10万円を超えていないと医療費控除の対象にはなりません。
中絶費用が払えない場合の対応策
初期中絶なら10万円程度の負担、中期中絶で出産育児一時金を貰っても、やはり10万円程度の負担が残るとして、どうしても払えない場合はどうするべきでしょうか。
パートナーと出し合う、もしくは親に頼るなどが可能であれば、そこまで大きな金額ではないため、何とか払うことはできるかもしれません。
でも、人それぞれ事情があって、自分1人で払わなくてはならないこともありますよね。
- 妊娠中期まで待つ
- 頼りにできる人がいないか探す
- 分割かクレジットカード払い
- 借りてでも払う
対応策として4つほど手段が考えられますので、自分にできることがないか確認してきましょう。
妊娠中期まで待つ
今の時点で妊娠初期なら、人によってお腹が目立つリスクもあります。
しかし、妊娠中期まで待って出産育児一時金を受給できると非常に大きいです。
中絶費用が安ければ、出産育児一時金の支給額が上回って手元に残る可能性もあるからです。
まずは、初期中絶と中期中絶の費用を病院に問い合わせてみてください。
そこで、中期中絶で出産育児一時金を考慮した費用と、どちらが高いか比較してみます。
特に、妊娠中期に近い妊娠初期は、初期中絶でも費用が高くなりがちなので注意してください。
頼りにできる人がいないか探す
妊娠は女性にとって一大事、そして中絶も同じく一大事です。
親に話して支援してもらえると良いのですが、とても親には言えない場合でも、複数の友人が少しずつ出してくれる(カンパしてくれる)こともあります。
もっとも、カンパは善意の行為なので、なかなか自分から頼むわけにはいきません。
妊娠・中絶を他の人に知られたくない事情もあるとは思います。
中絶は遅れるほど難しくなり、母体にかかる負担も大きくなっていきます。
迷っているうちに中絶手術ができなくなってしまった、ということのないよう、しっかりと手立てを考えていきましょう。
分割かクレジットカード払い
病院によっては、どうしても払えないことを相談すると、分割に応じてくれる場合もあります。
ただし、病院にとって分割払いは、そのまま未払いになるリスクを伴いますので、応じてくれるかどうかは病院しだいです。
また、支払いにクレジットカードが使えるなら分割払いなどを利用できるので、支払いが楽になります。
クレジットカード会社に、限度額の引き上げをお願いしなくてはならないかもしれませんが、とりあえず中絶費用を支払うことができます。
借りてでも払う
他に方法がなく、本当にどうしてもお金を用意できないときは、カードローンやキャッシングを使ってでも、中絶費用を払うしかありません。
何度も説明しているように、妊娠後期に入るともう産むしか選択肢がないからです。
また、中期中絶で出産育児一時金が入る予定なら、借りても一時的なので利息も少なくて済みます。
初回の借り入れは30日間利息なしの業者もあるので、積極的に選びたいところです。
まとめ できるだけ早く結論を考えること
中絶費用について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
ポイントは、妊娠後期に入ると法律により中絶できなくなること、中絶は遅くなるほどお金がかかること、中期中絶には出産育児一時金があることです。
これから中絶をするのであれば、手遅れになる前に何か手段がないか探してみましょう。
中絶の精神的なダメージは量り知れませんが、それにも増して、現実的なお金の問題は深刻です。
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監修者:福谷陽子 元弁護士 ライター >プロフィールはこちら |
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