私たちの生活において、電気は必要不可欠なライフラインです。
水道が止まっても飲み物は買うことができますし、お風呂は銭湯もあります。
ガスが止まっても、料理を作ったり買ったりすることはできます。
でも、電気だけは買うことができないので、止められるとどうしようもないですよね。
電気代を払えないとどうなるのか。
今回は電気が止められるまでの流れを説明します。
電気代を滞納してから実際に電気が止められるまでには最低3回の請求があります。
3回目の請求を無視してしまうと電気が止められますので対応策が必要です。
- 電気が止まるまでの流れ
- 電気が止まりそうなときの対応策
この順番に説明していきますが、電力会社によって若干対応は異なります。
詳しくは本文を参考にしてください。
電気が止まるまでの流れ
電気の場合は、止めてしまうことで命に関わる状況もあり得ます。
これに限らず、電力供給の停止は、生活に大きなダメージを与える性質があります。
なので電気代を滞納しても、そこですぐに止まるようにはなっていません。
必ず段階的な請求があり、3段階目の送電停止予告を経由して止まります。
支払期日による請求
検針日に投函される「電気ご使用量のお知らせ」を見て、電気代を知る人も多いのではないでしょうか。
電気代は、前月検針日から当月検針日の前日までの期間で計算されます。
また検針日の翌日から一定期間(20日~30日程度)を「早収期限日」とし、その間の使用料金を「早収料金」と言います。
早収期限に遅れてもその後10日程度は延滞利息がかかりませんが、それを過ぎると、各電力会社とも支払期日以降に延滞利息を加える「延滞利息制度」をとっています。
ただし、この時点で電気を止められることはありません。
最終期限日による請求
早収期限から10日程度過ぎると、年10%(1日約0.03%、3%を上限)の延滞利息が加算されていきます。
延滞利息は翌月の電気代と一緒に請求されます。
とはいえ、1ヶ月滞納しても1%未満なので、延滞利息自体はそれほど問題にならないでしょう。
また、先ほども触れましたが、早収期限日(支払期日)の翌日から10日以内に払うと延滞利息がかからない扱いです。
気になるのは滞納利息よりも「いつまで猶予があるか」ではないでしょうか。
電気代の最終期限日は、検針日の翌日から50日目(支払期日の20~30日目)です。
滞納していれば払込伝票が届いていますから、最終期限日が書いてあるはずです。
では、最終期限日までに払わないと、すぐに電気は止まるのでしょうか?
実は、それでもすぐに止まることはありません。
最終期限日にも支払いがないことを確認してから、送電停止予告付きの督促状が届きます。
送電停止予告付きの督促状
送電停止予告とは、「×月×日までに支払いがないと送電をお断りします」といった内容で、必ず送電停止予定日が書いてあります。
さすがに送電停止予告まで届くと、止まるまでそれほど猶予はありません。
送電停止予定日を過ぎると、いつ止められてもおかしくない状況ですから、同封されている払込伝票で払ってしまうことです。
送電停止予告上が届いても払わない場合、電力会社によっては再度督促状が届くこともありますが、あっさり止められることもあります。
ここまでの期間は、検針日の翌日から60日から70日ほど。
最初の支払期日から数えると、滞納が1ヶ月を超えたら危ないと思いましょう。
電力会社の早収期日と延滞料金、送電停止日のまとめ
それでは最後に、各電力会社の具体的な早収期日と最終期限、送電停止日を表で見ていきましょう。
電力会社 | 早収期日 | 最終期限日の目安 | 送電停止日の目安 |
東京電力 | 検針日の翌日~30日 | 31日~50日目 | 約60日後 |
関西電力 | 検針日の翌日~30日 | 31日~50日目 | 約51日後 |
中部電力 | 検針日の翌日~20日 | 21日~50日目 | 約60日後 |
北海道電力 | 検針日の翌日~20日 | 21日~50日目 | 約50日後 |
東北電力 | 検針日の翌日~20日 | 21日~50日目 | 約50日後 |
北陸電力 | 検針日の翌日~20日 | 21日~50日目 | 約62日後(50日から2週間後) |
中国電力 | 検針日の翌日~20日 | 21日~50日目 | 約70日後 |
四国電力 | 検針日の翌日~20日 | 21日~50日目 | 約60日後 |
九州電力 | 検針日の翌日~20日 | 21日~50日目 | 約70日後 |
沖縄電力 | 検針日の翌日~20日 | 21日~50日目 | 約60日~65日後 |
またいずれの電力会社でも、送電停止から約10日後に契約解除となります。
電気が止まりそうなときの対応策
送電停止の対応は電力会社によって異なっています。
しかし送電停止予告が来るまで止まらないと知っていれば、対応策を考えることができます。
- カスタマーセンターに連絡
- 他の支払いを後回しにできないか検討
- どうしても自分で払えないときは
カスタマーセンターに連絡
まずは、電力会社のカスタマーセンターに連絡します。
滞納が長いほど対応は厳しくなるので、できれば最終期限日よりも前に相談しましょう。
毎月督促しても払わない悪質な顧客でもない限り、電力会社も鬼ではありません。
電気を止めると生活できないことはわかっており、払う意思があることを訴えて、少しでも支払いを延ばしてもらえるように交渉してみるべきです。
他の支払いを後回しにできないか検討
その上で、他の支払いに猶予があるようなら、比較して電気代を先に払えないか検討します。
というのも、電気代は最優先に考えないと一番困るからです。
冒頭でも説明したとおり、水道・ガスは止められても何とかなります。
携帯が止まっても、電話会社経由の通信ができないだけで、Wi-Fiがあればインターネットには繋がります。
税金だって、お金のない人からは取りようがありません。
しかし、電気だけはほとんどの機器で必要とするため、止めるわけにはいかないのです。
何とか頑張って払えないか検討してみましょう。
送電停止延長ができるかどうか聞いてみる
電力会社によっては、送電停止日を延長できる可能性があります。
どの電力会社でも相談することは可能ですが、送電停止を延長できない場合もあります。
いずれにしても、「支払えない」と分かった早期段階で相談するようにしてください。
電力会社 | 送電停止延長相談 | 備考 |
東京電力 | 相談可能 | 最終期限よりも前ならOK |
関西電力 | 延長不可 | |
中部電力 | 延長不可 | 事情によっては督促方法を変更できるかも? |
北海道電力 | 相談可能 | |
東北電力 | 延長不可 | |
北陸電力 | 相談可能 | 事情によっては督促方法を変更できるかも? |
中国電力 | 相談可能 | 相談することは可能 |
四国電力 | 延長不可 | |
九州電力 | 延長不可 | |
沖縄電力 | 相談可能 | 支店別の対応 |
どうしても自分で払えないときは
他の支払いを後回しにしたくても、電気を止められるほど滞納する状況では難しいかもしれません。
ましてやクレジットカードは翌月の負担になりますし、安易には使えないですよね。
そうなると、短期的にでもお金を借りて電気代を払うしかなくなります。
親兄弟、友人、同僚、会社など頼める人がいなければ、カードローン(キャッシング)で用意してでも払うことを検討しましょう。
くどいようですが、電気が止まると本当に困ります。
冷蔵庫の中のものは全滅しますし、電気給湯器からお湯は出ません。
パソコンやテレビ、ポッドや炊飯器も使えませんし、スマホの充電もできません。
また、電気代を支払う際には「請求された順番で払う」というルールがあります。
つまり古いものから順番に支払っていくということで、各電力会社の電気供給約款で定められています。
滞納して何ヶ月分も同時に請求されると、滞納していない月(新しい請求書)の電気代を間違って払いがちなので気を付けましょう。
まとめ 電気がないと本当に困ってしまいます
電気料金を滞納したことがない人は、支払い期限を過ぎるとすぐに止まると思ってしまいます。
しかし、止まるまでは意外と時間があります。
毎月のように滞納しても、送電停止予告が来た時点で1ヶ月分を払えば止まりません。
しかし、1日でも電気が止まると、いかに電気へ依存した生活をしているか良くわかります。
ですから、緊急事態を避けるため、お金を用意して払うのは仕方がないのかもしれませんね。
監修者:福谷陽子 元弁護士 ライター >プロフィールはこちら |