公道に車を停めておくわけにもいきませんし、自動車を持つ方ならどこかの駐車場と契約をしていることと思います。
月極駐車場の利用には当然毎月料金がかかります。
ただ、毎月かかってくる固定費としてはかなり大きめの出費なんですよね。
都心に住むとなればかなり高額な出費になるので、上京してきた方などは非常に困惑すると思います。
突然ほかに大きな出費があって支払うのが難しくなった…と頭を抱える方も少なくありません。
「支払う意思はあるけど、滞納してしまっている…この先どうなるの?」
「駐車場代を支払えないときはどうすればいい?」
このページでは月極駐車場の料金支払いに関すること、支払えなくなった場合の対応策などを解説していきます。
車の駐車料金を支払わないまま数か月放置すると、滞納分の一括支払いを求める督促状が送付されます。
それに応じない場合には、その後支払督促を申し立てられて強制執行が行われる可能性があります。
車や財産、給与や預金口座などが差し押さえられる事態に発展しかねません。
駐車料金を支払えない場合には、予め駐車場の管理者側に事情を話しましょう。
いつまでに滞納している料金を支払えるか「支払う意思」をしっかりと伝え、できれば書面などで記録しておくようにしてください。
詳しくは本文を参考にしてください。
月極駐車場料金の相場は?
一般的に月極駐車場の料金相場は、都市部へ行くほど高くなると言われています。
以下のグラフは2015年度の各都道府県の月極駐車場の相場となっていますが、あくまで目安になります。
参考:国土交通省
やはり、東京と大阪、それに近しい都市部が圧倒的に高いことがわかります。
毎月3万円以上の料金がかかる東京都では、年間で40万近い駐車場代を支払っていることになります。
一方、安い地域では月々5000円。こちらは1年の滞納で約6万円になります。
やはり車の利用の多い地域や都市部、観光地などでは比較的割高になる傾向にあるようですね。
もしも1年以上にわたって駐車場代を支払わず滞納していたとすると、駐車場を管理している側としては大きな損失。
きちんと支払っていない以上、法的措置を取られてもおかしくありません。
支払えないとどうなるの?
では、駐車場代を滞納し続けた場合どうなるのか見ていきましょう。
- 電話連絡、口頭での注意がある
- 内容証明郵便の送付
- 裁判所から支払督促申立書が送達される
- 強制執行が行われる
電話連絡、口頭での注意がある
まずは管理者側から電話や口頭、文書などで滞納額、いつまでに支払えるのか確認の連絡があります。
電話連絡がつかない場合にはポストなどに文書で通知が入っていることが多いので、必ず確認するようにしてください。
今後も駐車場を利用していきたい場合には、この段階で取り決めたことや支払期日を明確に記した文書を作成しておきましょう。
管理側によっては万が一滞納額が返済されない場合に備えて、連帯保証人などを求められる場合もあります。
内容証明郵便の送付
注意勧告を無視すると、管理者側から「内容証明郵便」で請求書が届きます。
これは管理側から提示した期限付きで、滞納額の全額返済を求めるものです。
この内容証明に法的な拘束力はありませんが、「いつ」「誰に対して」「どんな内容の文書」なのかを郵便局が証明する文書となっています。
管理者側としてはそうした証明が必要な段階=訴訟を考えている、という段階ということです。
この段階では、管理者側が定めた期限までに滞納額(+延滞金や内容証明を送付するにあたりかかった費用など)を入金すればそれ以上の大事にはなりません。
裁判所から支払督促申立書が送達される
内容証明郵便を無視して滞納を続けた場合、支払督促が行われ、裁判所から支払督促申立書が送達されます。
これは管理者側が書面による申し立てを行い、審査を裁判所に訴えたもの。
債権者が裁判所を通じて債務者に対し、滞納全額を支払うよう求める文書です。
支払督促は比較的安価で、しかも手続きも簡単であることから、消費者金融や電話会社、信販会社など、取り立てにはよく利用されている制度です。
この支払督促に対して、債務者側が2週間以内に異議を申し立てると訴訟に移行し、通常裁判になります。
しかし、内容証明郵便の送付や滞納の事実がある以上、勝訴できる可能性は極めて低いでしょう。
また、2週間以内に異議申し立てをしない場合は自動的に相手に強制執行の権利が認められ、法的な効力のもと「一括支払いに同意する」ということになります。
その後30日以内に仮執行宣言の申し立てが行われ、管理者側が債務者に対して強制執行を行える状態になります。
強制執行が行われる
強制執行が行われた場合、車はもちろん、財産や預金口座、給与などが執行官によって差し押さえられることとなります。
執行官が自宅までやってきて、換金できるような家具や大型テレビなどの財産にシールを添付し、後日換金され、返済に充てられる可能性があります。
車が差し押さえられた場合にはレッカーで移動され、売却されてしまいます。
また給与が差し押さえられた場合、会社にも差し押さえられたことを知られてしまいます。
退職を迫られることはなくても、肩身の狭い思いをすることになってしまうでしょう。
駐車場代を支払えないときの対応策
こうした事態にならないため、月極駐車場の料金が支払えないときにはどのような対応をすればよいのでしょうか。
- 早い段階で管理者側と支払期日について話し合っておく
- 料金が安い駐車場を探す
- 契約書はきちんと細部まで確認を
- お金を借りて支払う
早い段階で管理者側と支払い期日について話し合っておく
駐車場代が払えないと車の置場がなくなるばかりか、その車や給与、財産までもが差し押さえられてしまう場合があります。
今月分は支払えそうにない…と分かった段階で、管理している不動産会社や大家さんなどに、支払い期日をずらしてもらえないかどうか相談しましょう。
支払えないことの後ろめたさから滞納して放置していると、上記のような法的措置を取られてもおかしくありません。
まずは声をかけて、こちらから期限を提示して滞納金を支払うよう心掛けてください。
料金が安い駐車場を探す
月極駐車場の料金は地域や都市、地方によって様々です。
職場の近くで使いやすいけど高い駐車場、家から少し遠くても1万円もかからない駐車場…。
駐車場を探すにあたっての条件は人それぞれですが、いまよりも維持費が安く済む駐車場は近くにないでしょうか。
ネットからでも地域の月極駐車場を検索することができますので、維持費の見直しをかねてぜひ探してみてください。
契約書はきちんと細部まで確認を
月極駐車場と契約する際には契約書による取決めがあります。
個人や不動産会社と契約する場合、インターネットを通じて契約する場合であっても、契約書にじっくりと目を通しましょう。
滞納してしまったときの取り決め事項などがあるケースも多いので、しっかりと確認するようにしてください。
お金を借りて支払う
どうしても支払い期限に間に合わず、一括で返済しなければならない場合には、カードローンなどのキャッシングを利用することも一つの手段です。
しかしキャッシングによりさらなる返済の負担や、生活の圧迫などが考えられます。
借り入れる際にはできるだけ低い金利のところを探してください。
また、返済プラン、貸金業者の特色などをしっかり吟味してから、足りない分だけを借り入れるようにしてください。
まとめ:払えないときは素直に連絡を
駐車料金を支払えないからといって連絡しないまま放置していれば、当然管理者側としては「払う気がないのではないか」と疑ってかかってしまいますよね。
管理者によっては車に「駐車禁止」と大きく貼り紙をしたり、滞納状況を事細かに記載した用紙を、わかりやすい場所にわざと添付したりすることもあります。
入院や事故、離職などで支払えない事情がある場合には、その点を管理者側と充分に協議したうえで、支払い期日を決めるようにしましょう。
それでも一括で支払うよう求められた場合には、別の安い駐車場へ移動することも視野に入れて検討してください。
監修者:福谷陽子 元弁護士 ライター >プロフィールはこちら |