新車以外は2年ごとに受ける車検。
自動車税も毎年かかるので、車検の年は出費が重なっていつも憂鬱ですよね。
「もしかして、車検を受けなくても見つからなければよいのでは…?」
内緒でそう思ったことがある人も多いのではないでしょうか。
実際、車検証を誰かに見せる機会は多くありません。
車検を受けないとどうなるのか。車に乗っているなら必ず知っておくべきです。
車検を受けることは法律で決まっています。
車検代を払えずに車検を受けないときのリスクは次の2つです。
- 車検切れで走行することのリスク
- 自賠責切れで走行することのリスク
詳しくは本文を参考にしてください。
車検費用の相場と安く車検を受ける方法
車検費用は軽自動車・乗用車、重量の違い、エコカー減免の適用などで変わります。
またその内訳は、「法定費用」と「点検整備費用」に分かれます。
法定費用は、自賠責保険料、自動車重量税、印紙代の3つです。
法定費用はどこで車検を受けても変わりません。
自賠責保険量 | 26,370円(軽自動車) | 27,840円(乗用車) |
自動車重量税 | 2,500円~75,600円 | 重量や経過年数、エコカー減免などで大きく異なる |
印紙代 | 1,100円~1,800円 |
車両の種類によっても異なりますが、これら3つの費用を合計すると、かかる費用は以下の通りです。
- 軽自動車3万円~4万円
- 小型乗用車(5ナンバー)3.5万円~8万円
- 普通乗用車(3ナンバー)5万円~10.5万円
一方、点検整備費用には、業者の利益も含まれているため、依頼する業者によって1万円~10万円程度まで幅広いです。
例えばディーラーで車検を受けた場合、安くても3万円、高ければ10万円は支払うことになるでしょう。
安く車検を受ける方法
法定費用が変わらないということは、どれだけ点検整備費用を安くできるかが、車検費用を安くするコツです。
具体的には車検をどこで受けるのかで全く異なります。
依頼先 | 説明 | 点検整備費用 |
ディーラー | 自動車メーカーの販売会社 | 3万円~10万円 |
車検専門店 | フランチャイズが多い | 1万円~5万円 |
整備業者 | 一般の修理工場など | 2万円~8万円 |
ガソリンスタンド | 車検を扱う場合のみ | 2万円~6万円 |
カー用品店 | 大手は車検も扱う | 2万円~6万円 |
車検代行 | ユーザー車検の代行業者 | 1万円~3万円 |
ユーザー車検 | 自分で運輸支局に持ち込み | 0円 |
車検費用が高くなる理由は、車検そのものにかかる費用に加え、部品交換などが含まれるからです。
特にディーラーは純正品を使うので金額も高くなりやすいです。
車検が通る最低限の整備だけであれば、どの業者に頼んでもそれほど変わりません。
最初からその旨を業者に伝えておく、車検代を抑えられる可能性があります。
車検を受けずに走行するリスク
故障車を除き、通常の状態の車であれば、車検を受けなくても物理的には走行可能です。
なお車検を受けるのは公道を走るための要件で、他者が全く入ることのない私有地であれば、車検を受けていない車を動かすことに制限はありません。
公道を走らないと車としての用途に意味がないので、仮に、車検切れのまま車を公道で走らせたとしましょう。
このときに起こり得る問題は次の2つです。
- 車検切れが発覚した
- 自賠責切れで事故を起こした
車検切れが発覚した場合
車検切れが発覚すると、道路運送車両法の規定により、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑に科される可能性があります。
軽微な交通違反における反則金とは違い刑事裁判になります。
十分に反省の態度を見せれば、略式起訴(口頭弁論等がなく罰金を払わせるだけの裁判手続き)で罰金になることがほとんどです。
この時点で車検費用よりも高いお金を払うことになりますし、前科もつきます。
罰金は刑事責任を問われるものであり、運転免許に関する行政処分も別にあります。
車検切れの点数は6点となり一発免停です(前歴なしで30日)。
車検費用よりもお金を払って、おまけに免許停止なら、車検を受けて堂々と運転したほうがどれほど良いかわかるでしょう。
自賠責切れで事故を起こした場合
事故を起こすと車検切れも同時に発覚しますが、車検切れではなく「自賠責切れ」としたのには理由があります。
車検と自賠責はセットになっており、車検が切れた状態では、基本的に自賠責も切れています。
より厳密に説明すると、車検切れの前に自賠責が切れるのを防ぐため、自賠責は車検期間よりも1ヶ月長く加入しているのが通常です。
したがって、車検切れから遅くとも1ヶ月後には自賠責も切れるというわけです。
車検切れ直後なら、自賠責が残っているかもしれません。
しかしもし自賠責切れで走らせると、自動車損害賠償保障法の規定により、1年以下の懲役または50万円以下の罰金刑が科されます。
自賠責切れのほうが車検切れよりも刑罰が重くなっているのです。
さらに、自賠責切れの行政処分は点数が6点です。
自賠責切れ+車検切れなので、合計12点となって、免停90日の処分に相当します(前歴なしの場合)。
また、最もリスクが大きいのは、自賠責切れで事故を起こした場合の損害賠償でしょう。
たとえ任意保険に加入していても、自賠責の保険金相当額は全て自己負担です。
売却以外の対応策
車検代が払えないと、車に乗ってはいけません。
これは、法律で決められたルールですから、どのようにしても変わらないです。
だからといって、車を売れないのであれば、何か手を打たないとダメですよね。
次のような対応策が考えられます。
- 車検代が払えるまで待つ
- 後払いにしてもらう
- クレジットカードやローン
- 借りて用意する
車検代が払えるまで待つ
車がないと生活できない事情の人には難しい方法ですが、少々の不便は我慢して、車検代が払えるようになるまで待つことも考えられます。
車検切れ・自賠責切れの状態になっても廃車にする必要はありません。支払えるようになるまでおいておくと良いのです。
ただ、車検切れの状態から、車検を受けるために車を走行させるには、自賠責加入と仮ナンバー取得が必要です。
面倒な場合は、ディーラーなどの指定工場(自社で車検ができる工場)に、運搬車で運んでもらうと車検を受けられます。
車検業者に後払いの相談
車検費用を払うタイミングには3つあり、車検業者によってタイミングは異なります。
できるだけ、後払いにしてもらえる車検業者を選ぶと支払いがしやすいです。
- 依頼時に全額前払い
- 法定費用を前払い、点検整備費用を後払い
- 車検後に全額後払い
全額前払いができるなら困らないので1は省くとして、2の分割払いは、採用している車検業者も多いですし、後払いの点検整備費用を猶予してもらえる可能性もあります。
3の全額後払いにしてもらえるには、主にディーラーです。
車両を購入したディーラー車検であれば、金額は高くなりますが、交渉によって後払いを認めてもらえる可能性が高いので、一度申し入れてみると良いでしょう。
クレジットカードやローン
クレジットカード・車検ローンのどちらも、車検業者しだいで対応の可否が決まります。
クレジットカード払いができるかどうかは予め聞いておくと簡単にわかるでしょう。
ローンについては、車検業者が信販会社等と提携している車検ローンや、マイカーローンとして金融機関が用意しているローンなどを使えます。
ただし、審査があるので誰でも使えるとは限りません。
借りて用意する
車検代が払えるようになるまで待つこともできず、できるだけ安い車検業者を使ってもお金が不足するなら、借りる以外に方法は残されていないでしょう。
クレジットカードやローンを使っても現金で借りても、結局はお金を借りるという点で同じです。
親兄弟・友人などに借りられないなら、カードローンやキャッシングを利用するしかありません。
クレジットカードやローンよりも低い金利の可能性もあるので、良く金利を比べてから借りるようにしたいところです。
まとめ 車検費用の為に人生を棒に振ることになることも
法律に違反していると知りながら車検切れで走るのは違法ですし、非常にリスクが高くとても常識のある社会人の行動とは言えません。
罰金で済まず、懲役刑になル可能性もあります。そこまでして運転したいのか良く考えましょう。
また、無保険状態で事故を起こすと、一生を台無しにする多額の損害賠償責任を負う可能性もあります。
車検費用と自分の人生を天秤にかけるくらいなら、何とか用意して支払ってしまった方が良いのは確実です。
監修者:福谷陽子 元弁護士 ライター >プロフィールはこちら |