「NHKなんか見てないのに、どうして受信料払わなくちゃいけないの?」
誰もが一度はこんな風に思ったことがあるはずです。
まして、NHKの不祥事が連続した時期もあり、一時期、受信料の滞納者が激増したといわれていました。
ところが、NHK側も最近はかなり強引に受信料の取り立てをしているという噂もあります。
現に、2012年のNHK発表では72%だった支払い率が2016年5月には76%にまで回復しています。
今後はますます取り立てが厳しくなる可能性も考えられます。
そこで、受信料が払えないとどうなるのか?その流れと解決法についてお伝えします。
NHKの受信料を払うのは、放送法で定められた国民の義務。
支払わなければ裁判所から支払督促が来たりNHKから訴訟を起こされたり、最悪、給料や預金を差し押さえられる可能性もあります。
解決策としては以下のような方法があります。
*分割払いの相談をしてみる
*支払督促が来たら2週間以内に対応する
*5年以上前の受信料は時効を主張する
*そもそも受信料を払わなくてよい場合もある
*まとめ割引や家族割引を利用して減額する
詳しくは本文を参考にしてください。
NHK受信料は放送法で決められた義務
NHKは民間の放送局と違い、情報の公平性を保つためスポンサーをつけずに運営されています。
そのため、私たちから「受信料」という名目でお金を徴収しています。
冒頭の「見ていないのにどうして支払わなければいけないの?」という疑問について―
「放送法」という法律により、テレビがある=受信できる状況にある場合にはNHKとの契約が義務となり、受信料を支払わなければなりません。
放送を受信できる環境にある限り、受信料を支払わないと法律違反になります。
※2017年12月7日追記
NHKと受信料の支払いを拒んでいた男性の間で行われていた裁判。
最高裁は「テレビがあればNHKと契約を結ぶ義務がある」とした放送法は「合憲」であると判断しました。
これにより、事実上NHK受信料の支払いが義務づけられたことになります。
ネット上では「もうテレビは買わない」「国民の義務が増えた」などの批判が噴出しています。
ただ裁判の判決文では、「契約が必要であるかどうかは裁判所が決定する」ともあります。
判決全文:https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/281/087281_hanrei.pdf
NHKの受信料を払わないとどうなるかの流れは下のようになります。
- 書面や訪問で催促される
- 支払督促が来る
- 仮執行宣言の通知が来る
- 給料や預金を差し押さえられる
では、詳しく説明していきます。
1.書面や訪問で催促される
受信料を払わなければ、まず書面や電話などで催促されることになります。
または、NHKから委託された徴収員が直接訪問してきたりして、受信料を支払うようアプローチしてきます。
2.支払督促が来る
1の段階で支払わないと、次に「支払督促」が届きます。
支払督促とは、NHKが裁判所に申立をして、裁判所から滞納者に督促状が送られてくる制度のことです。
裁判所が関与するため強制力は強くなり、放っておくと財産や給料の差押を受ける可能性があります。
支払督促の詳細はこちらのサイトでご確認ください。
「裁判所|支払督促」
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui_minzi/minzi_04_02_13/
3.仮執行宣言の通知が来る
支払督促を無視していると、裁判所から「仮執行宣言」の通知が届きます。
仮執行宣言とは、「ただちに強制執行(差押え)の手続きができるぞ」という宣言のことです。
この通知が届いたら、いつ差し押さえが行われてもおかしくない状態となります。
通知を放置しておくのは危険です。
仮執行宣言の詳細はこちらのサイトでご確認ください。
「裁判所|仮執行宣言付支払督促を受けた場合はどうすればいいの?」
4.給料や預金を差し押さえられる
裁判所が仮執行宣言をするということは、「これ以後、いつでも差し押さえができますよ」ということです。
例えば会社員の方であれば、ある日突然、給料を差し押さえられてしまうこともあります。
支払いをしたくなければ、支払い督促が来た段階で裁判所に異議申立をしましょう。
これにより、NHK受信料に関して裁判で争うことができます。
一概に「滞納したら必ず差し押さえされる」とは言えませんし、今後の判例によってはさらに事態が好転する可能性もあります。
ただし、こうした争いを起こしたくないのであれば素直に支払ってしまうほうが良いでしょう。
5年近く滞納していた場合、訴訟を起こされる可能性も
もし、あなたが受信料を長期にわたって払わずにいたら、NHKから訴訟される可能性もあります。
受信料の支払いをめぐる裁判で、「滞納分は5年で時効」という判決が2014年に出たことが関係しています。
NHK側は10年の時効を主張しましたが却下されたわけです。
支払督促の申立をしたり、訴訟を起こしたりすることで時効を「中断」することができるので、滞納期間が一定以上になるとNHKは裁判を起こします。
あなたが5年近く滞納しているとしたら、手続きをとられる可能性が高いと言えるでしょう。
払えない場合の解決策は次の5つ
では、いきなり差し押さえとならないためには、どのような解決策があるのでしょうか?
1.分割払いの相談をしてみる
まず、書面や訪問で催促されている段階であれば、払えない事情をきちんと伝え、分割払いの相談をしてみましょう。
原則は一括払いですが、分割を認めてもらった方も少なくありませんので相談してみる価値はあります。
2.支払督促が来たら2週間以内に対応する
支払督促や訴状が届いたら無視はしないようにしてください。
支払督促の場合、まずは裁判所に連絡を入れ「督促異議申立書」を提出しましょう。
タイムリミットは「2週間」です。
督促異議申立書には、支払督促に異議があります、とだけ書いて提出すれば良いです。理由は要りません。
通常裁判の場合には「答弁書」を提出します。
和解や分割払いを希望するならその旨記入して出しましょう。
裁判で判決が出たら必ず守るようにすること
督促異議申立書を提出すると通常裁判へと移行します。
和解を希望するならば、そこで分割払いにしてもらえないか?といった話し合いをしていくことになります。
話し合いが成立しなかった場合は判決を受けます。
裁判に負けると、判決で一括返済を言い渡されます。
こうなるとカードローンでお金を借りてでも返済しておかないと、強制的に差し押さえをされてしまいますので注意してください。
3.5年以上前の受信料は時効を主張する
時効のお話を先にしましたが、5年以上前の受信料については、訴訟や支払督促が来ていなければ時効が成立しています。
例えば、8年前から去年までの未払いの受信料について訴訟された場合。
6~8年前の受信料については時効になっていますので、支払い対象となるのは5年前までの分ということになります。
ですので、もしも訴訟されたり支払督促で5年より前の分も請求されたりした場合には、はっきりと時効になっている(消滅時効)ということを主張するようにしましょう。
時効は「援用」しないと効果が得られないので、必ずはっきりと主張することが必要です。
4.そもそも受信料を支払わなくてもよい場合もある
「NHKの受信料は国民の義務」
と思っている方もいるようですが、そもそも受信料は払わなくてもよい場合があります。
- テレビやテレビチューナー付きPCなどの受信機がない
- アンテナがない、テレビが壊れているなど受信できない状態にある
- 受信料の免除規定に該当する
受信料の免除の規定については、生活保護世帯などの条件があります。
詳しくは下記NHKのサイトでご確認ください。
「NHK受信料の窓口-放送受信料の免除について」
https://pid.nhk.or.jp/jushinryo/taikei-henkou.html
受信機が1台もなければ解約ができます
解約する場合は、NKHに直接連絡をして解約届の用紙を送ってもらいましょう。
「テレビ番組を受信できる受信機が1台もない」ことが条件となり、ワンセグ付きの携帯電話やタブレット端末も受信機とみなされます。
詳細は地域のNHKの窓口(下記より検索)かフリーダイヤル 0120-151515 へ電話をしてみてください。
「NHKオンライン|全国のNHK」
https://www.nhk.or.jp/toppage/zenkoku/
5.まとめ割引や家族割引を利用して減額する
ささやかな金額ではありますが、受信料を減額する方法もあります。
- 振込から口座振替やクレジットカード払いに変更すれば年間600円安くできる。
- 半年分なら約400円、1年分の前払いなら約1,000円安くできる。
- 離れて暮らす家族なら条件をクリアすれば受信料が半額になる。
家族割引の詳細については下記サイトでご確認ください。
「NHK受信料の窓口-放送受信料 家族割引のお申込み」
https://pid.nhk.or.jp/jushinryo/FamilyPlanPostExp.do
まとめ
「たかが受信料、されど受信料」
地上契約であれば1回の支払いは2千円ちょっと。それでも滞納回数が多くなれば何万円にもなってしまいます。
まして、NHKを見ていないとなればなおさら払うのが惜しくなってしまいますよね。
しかし、「受信機はあるけど見ていないから払う必要はない」は通用しないことはお分かりいただけたと思います。
今回ご紹介した方法の中から、あなたに合った方法で解決していってください。
監修者:福谷陽子 元弁護士 ライター >プロフィールはこちら |