「反則金って払わないっていう人もいるけど、本当に払わないで大丈夫?」
そんな風に考えている方は少なくありません。
確かに支払わなくて済んでしまっている人もいるのは事実です。
しかし、100%の人が反則金から逃れられるわけではありません。
だとすれば、リスクも考えて支払っておいたほうが賢明です。
「でも、現実的に考えてすぐには払えない…」
ここでは「払えないとどうなるのか?」を解説し、払うための解決法をお伝えします。
交通違反をして払う「反則金」。
青キップと一緒に渡された納付書の期限に払わなければ、次に「通告書」が届きます。
それを無視していると書類送検されて「略式裁判」となる可能性があります。
また駐車違反で青キップを切られた場合、払わなければ次の車検を拒否をされます。
ですので、あなたが違反したことを認めるのであれば次の方法で解決するようにしてはいかがでしょう。
- カードローンで借りてとにかく払ってしまう
- 分割、延納の相談をしてみる
- 親や友人から借りる
詳しくは本文を参考にしてください。
青キップと赤キップの違い
交通違反には、通称「青キップ」と呼ばれる「交通反則告知書」と「赤キップ」と呼ばれる「告知書」があります。
青切符と赤切符、そして反則金と罰金の違いについて、大きく違う点を表にしてみました。
通称 | 青キップ | 赤キップ |
正式名称 | 交通反則告知書 | 告知書 |
支払うお金 | 反則金(放置すると罰金も) | 罰金 |
違反の度合い | 速度超過など軽妙な違反 | 酒気帯び運転など重い違反 |
処分 | 行政処分(放置すると刑事罰も) | 刑事罰 |
送検されているか否か | 未払いなら書類送検 | 送検される |
前科がつくか否か | 起訴、有罪確定で前科がつく | 刑法違反のため前科がつく |
「青キップは支払わなくていい」のはなぜ?
道路交通法に違反すると、その程度によって青キップ、または赤キップが切られます。
それぞれ違反金、もしくは罰金や懲役が科せられることになります。
ですが、いずれも「法律違反」であることには変わりないのに、「青キップは支払わなくてもいい」などと言われるのはどうしてでしょうか。
たとえば、スピード違反やシートベルト未着用、信号無視に一時停止無視などを一つずつ丁寧に取り締まったとします。
その都度道路交通法違反として「赤キップ」を切り、送検、起訴、裁判、刑罰、罰金の支払い、さもなければ強制執行…。
などという段取りを踏んでいては、あっという間に裁判所がパンクしてしまうことは明白です。
そこで「青キップ」という反則金を導入することにより、軽度の違反であれば反則金を支払うことで刑事事件として取り扱われないようにし、違反の抑制と再発防止がなされているわけです。
反則金に関しては自主的に支払うものであり、法律上支払わなければならない、と義務付けられているものではありません。
つまり「法律上は青キップによる反則金を支払う義務はない」けれども、支払わなければ刑事事件として立件されます。
そうなると、最終的に検察に送検、起訴される場合もあり、「赤キップと同じに扱いとなる」ということですね。
道路交通法違反で生じる反則金、罰金の金額は?
一般的に反則金の額は5,000円~40,000円です。
違反の程度や車種、道路区分によって金額は大きく変動します。
酒気帯び運転や無免許運転の場合には反則金制度が適用されず、免許取り消しのうえ、懲役などの重い刑事罰が科せられることになります。
以下はそ反則金の一例です。
交通違反の種類 | 車種 | 程度 | 反則金 | 備考 |
スピード違反 | 大型車 | 35km以上40km未満 | 40,000円 | 高速道路 |
普通車 | 30km以上35km未満 | 25,000円 | 高速道路 | |
信号無視 | 普通車 | 赤色無視 | 9,000円 | |
追越し違反 | 普通車 | 9,000円 | ||
遮断踏切立ち入り | 普通車 | 12,000円 | ||
積載物重量制限超過 | 普通車 | 5割以上10割未満 | 30,000円 |
※埼玉県警察ホームページより一部抜粋
普段からこうした交通違反には気を付けたいところですが、「じゃあ期限内にこれだけの反則金を払ってください」と言われると、かなり厳しいと感じてしまう金額ですよね。
特にスピード違反については12,000円~25,000円(普通自動車の場合)の反則金が生じます。
それでは、反則金はどのように納めればよいのでしょうか。
反則金の納付の流れとは?
青キップや仮納付書が渡された場合、どのように反則金を納付すればよいのでしょうか。
仮納付書が発行された翌日から7日以内の場合
近くにある銀行や郵便局などの金融機関から納付することができます。
しかし平日の振込手続き可能な営業時間内に限りますので、普段会社勤めをされている方にとっては結構困りモノです。
また納付期限内に仮納付書を紛失してしまった場合は、近くの警察署や交通反則通告センターで再交付してもらうことができます。
代理人でも納めることができます
本人の承諾を得ている場合のみ、代理人が納付することも可能です。
ただし仮納付書の住所氏名は本人のものを記載する必要がありますので注意してください。
仮納付の期限を過ぎてしまった場合
仮納付の期限を過ぎてしまった場合でも、10日以内であれば交通反則通告センターで本納付することができます。
自分の足で納付する場合には、ここがデッドラインとなるんですね。
この10日の間に納められれば、刑事事件として取り扱われることはありません。
10日間の納付期限を過ぎてしまった場合
7日間の期限を過ぎてしまうと、もうその仮納付書では反則金を支払うことはできません。
東京であれば池袋か立川の「通告センター」に出向かなければなりません。
つまり、「どこでも払える」というわけにはいかなくなった、ということです。
通告センターで納付書を発行してもらったら、11日以内に銀行か郵便局から支払うことになります。
約40日後に赤い用紙が送られてきたら要注意!
通告センターに行かずにいると、青キップを受け取った日から約40日後に、今度は告知書ではなく「交通違反通告書」という赤い用紙が送られてきます。
色は赤ですが、これは赤キップではありません。
通告書と一緒に、反則金に送付費用(800円+税)をプラスした金額の納付書が送られてきます。
この納付書を使って、期限内に指定された金融機関で支払う必要があります。
それでも払わなければ「赤キップ」と同じ扱いになり、検察に書類送検されますので注意が必要です。
もともと青キップは、「反則金を払うことで刑事罰は問われない」というもの。
払わなければ当然ですが刑事罰が下されることになります。
略式裁判で罰金を言い渡されることもある
赤キップになった場合や青切符で反則金を支払わなかった場合と警察で取り調べを受けるなどして、刑事裁判となります。
裁判はほぼ略式のもの(略式裁判)で、各都道府県にある「交通裁判所」か「簡易裁判所」で行われます。
この裁判では警察・検察官の作成した書類によって審理されます。
ただし不起訴となり、裁判にならず刑事罰も受けない例もあります。
裁判をするための交通違反の証拠集めが手間になることなどが影響しています。
もしも刑事裁判が始まってしまえば、無罪となることはほぼ不可能です。
前科者として犯歴台帳に記録される
略式裁判では、ほぼ100%有罪という扱いです。
特に青キップにサインしてしまっている場合には、自分で自分の違反を認めてしまっていることになります。
しかし、略式裁判を行ううえでは、被疑者の同意を得る必要があります。
そのため無罪を争いたい場合には、略式裁判を開くことに同意せず、正式裁判を行うよう申し立てる必要があります。
また、略式裁判で略式命令を受ければ、「前科者」というレッテルも貼られてしまいます。
ただし、青キップから略式裁判となった場合、罰金として支払う金額は反則金と同程度になることが多いです。
何十万円にもなることはほとんどありません。
略式裁判に応じなければ逮捕されることも
略式裁判でも正式裁判の場合でも、裁判前に書類を作る目的で警察からの呼び出し(出頭)があります。
出頭できないなら、必ず連絡を入れて日にちを調整しましょう。
出頭しないと逃亡のおそれがあるとみなされて逮捕されてしまうこともあります。
赤キップで払わなければ「差し押さえ」か「労役」
青キップではなく赤キップを切られた場合、刑事罰を受けることがほとんど確定しています。
その場合、支払うお金は「反則金」ではなく「罰金」です。
なので、罰金を払わなければ強制執行されて「差し押さえ」か「労役場留置」になります。
- 差し押さえ:預貯金や家、車、宝石などの財産を没収される
- 労役:留置されて1日5,000円相当の仕事をさせられること
労役だと20万円の罰金で約2カ月拘束されることも
労役場留置となると、罰金の額が20万円であれば40日拘束されて働かなくてはならないということです。
ただ、土日は仕事がないので実質は40日ではなく、約2か月の拘束となります。
払えない場合の解決方法
では、払えない場合の解決方法についてお伝えします。
- 分割、延納の相談をしてみる
- 親や友人に借りる
- カードローンで借りる
- 反則金であれば「支払わない」という方法も
分割、延納の相談をしてみる
原則として反則金は一括での支払いとなります。
通告書までならとりあえずお金が用意できるまで払わずにいるしかありません。
ただし、通告書の段階で支払わないでいると、次は略式裁判になる可能性がありますのでとぼけていることはできなくなります。
この段階でも払えない場合、検察か罰金収納係にその旨を相談してみる方法もあります。
やむを得ない事情があれば、ある程度の猶予は認められます。
分割払いか「来月の給料日まで」のように延納にしてもらいましょう。
親や友人に借りる
親や友人も普段のあなたの金銭感覚に問題がなければ、払えない事情を話せば金額が少ないだけに貸してくれる可能性は高いと思います。
もちろん、いつ返せるかということも伝え、友人であればたとえ数万円でもきちんと「借用書」を書いて渡しましょう。
「誠意」を示すことは大切です。
カードローンで借りる
青キップの場合なら金額は多くても2万円前後。
通告書が届く前、もしくは届いたらすぐにカードローンで借りてしまう、ということも1つの手です。
金利が高いといっても1~2万円のことであれば、金利20%で1カ月2万円を借りても利息は300円です。
とはいえ、安易な借入は禁物ですし、カードローンの利用は最終手段です。
きちんと返済できるかどうか、無駄に借りすぎないかどうかなど、返済計画を練った上で、必要な金額だけ借り入れてください。
反則金であれば「支払わない」という方法も
反則金は罰金とは違い、支払いは「任意」です。
なので、1万円、2万円の支払いが本当にできないのであれば「支払わない」という方法もあります。
「通告書を無視していてもなんの連絡も来ない」という方もいますが、その選択肢がOKなわけではありません。
裁判になる可能性もあります。
また、駐車違反で青キップを切られた場合、反則金を払わなければ次の車検を拒否(車検拒否制度)されてしまいます。
運転者が特定出来ない場合、車検証上の「使用者」に違反金の納付命令が来ます。
平成18年より道路交通法が改正されていて、駐車違反に対する「使用者責任」が強化されたからです。
車検の為に駐車違反の反則金であれば、カードローンでお金を借りてでも払っておくべきでしょう。
まとめ 払わないとペナルティが厳しい
反則金について、払わなければどうなるのか?
払うための解決方法をお伝えしましたが、金額が少ないだけに「とにかく払っておく」のが一番です。
そもそも反則金も払えない状態であれば、本来なら車を維持していけるわけがない、と世間は解釈します。
「車を運転する仕事で、自分の車は持っていない」
そんな方が反則金を払わずにいると、運転免許の点数が加算されるだけではなく、略式裁判になる可能性もあるわけです。
運転の仕事にも影響がまったくないとは言い切れません。
そういったデメリットを考えても、期限を過ぎてしまったなら通告書が届いた段階で払うようにしましょう。
監修者:福谷陽子 元弁護士 ライター >プロフィールはこちら |