今ではすっかりおなじみとなった、通販で購入した商品の後払い決済。
商品が届いたあと、送られてくる請求書をコンビニにもっていって、代金を支払うのが一般的ですよね。
しかしついつい便利なので買いすぎてしまって、あとで多額の請求書を見て「うわっ」と思われる方も。
先払いしたと思って支払いを忘れてしまっていたり、悪質な場合は支払わないことを前提に次々と注文をしたりする人もいるようです。
- 「後払いを滞納しているとどうなるの?」
- 「もし払えないときはどうすればいい?」
このページではそんな疑問にお答えしていきます。
後払い決済の代金を滞納し、再三にわたる催告も無視した場合、法的措置が取られ財産が差し押さえられたり、詐欺罪で逮捕されたりする可能性もあります。
個人の経営するネットショップでは、未払い者のリストを本名や住所を記載、ネット上に公表しているところもあります。
後払いをうっかり忘れていた・払ったと思い込んでいたときには、すみやかにショップ側へ連絡し、入金するよう心掛けてください。
詳しくは本文を参考にしてください。
ネット通販における「後払い決済」方法とは?
後払い決済サービスとは、大まかに説明するとこのようなサービスとなっています。
- ネットショップで後払い決済を選択して商品を購入
- 請求書が届く
- その請求書でコンビニや郵便局、銀行などで代金を支払う
このほかにも個人で運営している通販サイトやネットショップなど、支払い方法のなかに後払いを用意している店舗は少なくありません。
一方、Amazonなどの大型の通販サイトでは、後述するトラブル回避のためか、後払いでは商品を購入できません。
年間200億円もの未払いがあると言われている
商品を確認したあとに代金を支払えるメリットがある一方で、年間200億円にも及ぶ未払いが発生していることが報道されました。(2014年9月・朝日新聞記事)
- もう払ったと思っていた
- 先払いだと勘違いしていた
- 支払いをうっかり忘れていた
- 請求書を紛失してしまった
これらのように、未払いの大半は意図的なものではありません。
しかし、度重なる催告や督促状を受けたにもかかわらず無視を続けた場合、法的措置を取られることもあります。
後払いを未払いのまま放置していたらどうなるの?
では、後払い料金を滞納した場合どうなるのか、段階別に見ていきましょう。
支払い期日に間に合わないとき | 督促メールが届く |
督促メールから1週間後 | 2度目の督促メール、電話や文書での連絡 |
請求書が内容証明で送付される | |
訴訟手続き・もしくは被害届の提出 |
支払い期日に間に合わないとき:督促メールが届く
ネットショッピングの場合、連絡先のメールアドレスの登録が必須です。
支払い期日までに入金がない場合、2・3日後にはそのメールアドレス宛に督促メールが送付されます。
この段階ではまだネットショップ側も「もしかしたら忘れているのかな?」と気になっている状態です。
改めて設定された支払い期日も明記されていますので、気が付いた段階で支払うようにしましょう。
督促メールから1週間後:2度目の督促メール、電話や文書での連絡
上記のメール連絡から一週間たっても入金がない場合は、二通目の督促メールや電話・FAXなどでの入金催告がはじまります。
またこの場合も支払い期限が明記されますが、その期限にも支払いがない場合には「法的措置を取ること」を明記したメールが送付されます。
請求書が内容証明で送付される
再三にわたる請求にも応じなかった場合、内容証明郵便で請求書が送付されます。
「○月○日までに代金の支払いがされない場合、法的措置をとります」といったような内容の文書です。
内容証明郵便に法的な拘束力(差押の効力など)はありません。
しかし業者側がその後の訴訟や被害届を出す際に使われるものです。
内世証明郵便の送付は、いわば法的措置を取る前段階と言えます。
訴訟手続き・もしくは被害届の提出
こうしたトラブルの場合、債権は弁護士事務所や信用会社に譲渡され、少額訴訟という訴訟を申し立てられるケースが多いでます。
少額訴訟は60万円以下の支払いを求める場合に行われる簡単な訴訟手続きで、控訴することはできません。
判決が出たら強制執行(差押)されますが、強制執行が行われた場合には車や預金口座、給与などが差し押さえられることになります。
また、極めて悪質であると受け取られた場合には、詐欺罪として被害届を提出されることもあります。
詐欺罪で起訴された場合、有罪が確定すると懲役10年以下という重い刑罰が科せられる可能性があります。
後払いの代金が支払えないときの対応策
通販の代金を滞納しても、余程悪質でない限り裁判沙汰になることはありません。
しかし、うっかり忘れていて気が付いたら訴訟を開始するという通知がきていた…ということもあります。
ではこのような事態にならないためにはどのような対応をすればよいのでしょうか。
- 期日までに代金が支払えない場合はショップへ連絡する
- 放置してしまっていた場合は謝罪が必要
- お金を借りて支払う
期日までに代金が支払えない場合はショップへ連絡する
突然まとまった費用が必要になったり、事故入院などで支払うことが困難になったりした場合など、何か事情があって支払いができないのであれば、支払えないとわかった段階でショップ側との連絡を取りましょう。
電話・メール・FAXのどれでも構いません。問い合わせ番号と氏名があればOKです。
具体的に入金できる日付を伝えておけば、ショップ側としてもその期限を過ぎたらまた連絡する、という対応が取れます。
支払えないからといって電話やメールでの連絡に応じなかったり、放置していたりするとショップからの信用度は下がるばかり。
法的措置もやむなし、と見られる可能性があります。
放置してしまっていた場合は謝罪が必要
支払ったと思い込んでいたり、支払いを忘れていたりした場合は誠実に謝罪し、代金を支払いましょう。
この場合延滞金が発生していることがほとんどですが、それも含めて一括で入金するようにしてください。
また請求書を紛失してしまっていた場合、多くのショップでは連絡すれば再発行してくれます。
いずれにせよ「忘れていた・なくしたから払わなくていい」ということにはなりません。
わかっていて放置するのは悪質なこと。裁判沙汰になったとしても、勝訴となることはまずないでしょう。
お金を借りて支払う
親や友人、キャッシングなどでお金を借りて支払う方法もありますが、あくまでもこれは最終手段です。
「お金を借りてでも買い物したい」という状態になっていると、買い物依存症という別の疾患の疑いが出てきます。
そうでなくても、借入を行う場合は慎重にならなければいけません。
借りたお金を返済できないまま放置することのないよう十分留意してください。
まとめ:後払いは迅速に。支払ったら証明できるものを取っておこう
通販の後払いを放置していると裁判や強制執行、挙げ句の果てには逮捕など、恐ろしい事態になることもありえます。
たかが数千円、数万円…と思っていても、ショップ側としては大切な売上です。踏み倒されてはかないません。
法的措置を使っても、その申立や手続きの費用は最終的に債務者に請求されることとなります。
ショップ側が訴訟しない理由は「手間がかかる」ことだけです。
手間を惜しまなければとことん追い詰められる可能性があります。
後払いを選択して商品を買ったあとは、2週間以内にコンビニなどで入金すればOK。
もし払ったかどうか忘れてしまったときには、振込完了メールが来ていないかどうか、支払った際のレシートや受領書が残っていないかどうか確認してください。
監修者:福谷陽子 元弁護士 ライター >プロフィールはこちら |