2016年11月からはじまった、ZOZOTOWNのツケ払いサービス。
テレビCMやSNSでも話題になりましたよね。
普段から利用している方でなくても目についたのではないでしょうか。
- 「ツケ払いで買ったけど払えない」
- 「払うの忘れる」
- 「買ったという実感がなかった」
サービス開始と同時に、こうしたSNSへの投稿、ネットニュースがにわかに注目されました。
その多くが20代のクレジットカードを持たない若い方であることから、注意喚起を呼びかけるサイトが増えています。
ここでは、ZOZOTOWNのツケ払いサービス利用についてご紹介します。
また、どのような流れで商品が購入できるのか、その注意点もまとめます。
ZOZOTOWNのツケ払いサービスは、GMOペイメントサービスという企業の「後払いサービス」です。
代金+手数料(+銀行の場合振込手数料)を請求書到着後2か月以内に支払うことで商品を購入できます。
ツケ払いサービスを利用するためには審査があり、それまでの購入実績などが重視される傾向にあります。
また商品到着後支払い期日までに代金を支払わない場合、督促の後訴訟となる可能性もあります。
詳細は本文を確認してください。
本当は便利?怖い?ツケ払いサービスの本質とは
「ZOZOTOWNのツケ払いサービス」について、まずはどのような利用の流れになるのか改めて確認しましょう。
- 商品をネットページから購入
- 支払い方法から「後払い」を選択
- 商品が先に到着
- 商品到着から約1週間後、請求書が到着
- 2か月以内にコンビニ・銀行で支払う
なぜ「ツケ払い」ができるのか考えてみる
ZOZOTOWNで買った商品の代金をなぜ後で払えるのか。
それは「GMOペイメントサービス」という企業が、お客さんに代わり、商品代金をZOZOTOWNに支払っているからです。
そこでお客さんは、「ZOZOTOWN」に代金を払うわけではありません。
実際には「GMOペイメントゲートウェイ」という会社に、「代金+手数料」を合算した代金を払う、ということになります。
ちなみに手数料は税込324円です。銀行振込であれば別途で216円の振込手数料がかかります。
今やネットショッピングにはクレジットカードはなくてはならないものになりました。
しかしこのツケ払いサービスを利用すれば、クレジットカードがなくても「すぐ欲しい!」が叶います。
あれ?でもこのツケ払いの仕組みって…
一見するととっても便利なサービスですが、少し言葉を置き換えて考えてみましょう。
- お客さんがすぐに買えない服を、GMOからお金を前借りして買う
- GMOからお客さんに「代金はこれだけ。あと代わりに買ったぶん手数料プラスね」と請求される
- お客さんは2か月以内に支払う
- 払えないとGMOから「早くしてね」と訴えられる
いかがでしょうか。
こうして見るとツケ払いというサービスは、「商品を買うために一時的にお金を借り、後日手数料込で支払う(返済する)」ものであることが分かります。
これはれっきとしたローンですし、もっと簡単に言うと借金で衣服を買う、ということに他なりません。
もちろん借りたお金は返さなければなりません。
「たくさんの人が使っているから自分ひとりくらい…」というのは全く通用しないのです。
こうした流れやローンについてきちんと知識があるなら、利用の際にも注意できるでしょう。
しかしツケ払いサービスの利用者の多くは、20代のクレジットカードを持たない学生の方です。
- 「買った実感がない」
- 「あとで払わなくてもいいと思う」
- 「払えるかわからない」
支払いができなくなる原因は、借金に関する知識不足が招いているものと思われます。
ツケ払いサービス利用の審査基準ってどうなってるの?
ところで、GMOという会社がどんな人からの商品購入でも代行してくれる、という訳ではありません。
商品購入した人が本当に代金を支払ってくれるかどうか、改めて確認する行程があります。
GMOペイメントサービスを利用するには「与信審査」に通過する必要があります。
審査基準は非公開とされていますが、その人の購入実績やZOZOTOWNに登録してからの期間を審査している、と言われています。
利用上限額 | 54,000円 |
過去の購入実績 | 30,000円以上 |
期間 | 半年(6か月)以上 |
こうした与信審査に通らなければツケ払いサービスは利用できません。
また他にもGMOペイメントを通した商品購入を行い、支払がまだの場合には審査に通らない場合があります。
しかし裏を返せば、ある程度の購入実績があるのなら、どんな人でもツケ払いサービスが利用できる、ということになります。
2か月後、ツケ払いを払えなかったらどうなる?
それでは、GMOから請求書が届いて2か月経ち、それでも代金を支払わなければどうなるか、時系列を追って見ていきましょう。
- 支払い期日から数日後、ハガキ、メール、電話での督促
- 督促で「法的措置」という単語が出る
- 内容証明郵便の送付
- 訴訟を起こされ敗訴
- 信用情報に「異動情報」が残ります!
支払い期日から数日後
請求書を受け取ってから、支払期日は2か月もあります。
猶予期間が長すぎてついつい放置して忘れ、気が付いたら支払日を過ぎていた!なんてこともあるかもしれません。
支払い期日から数日後、GMOペイメントサービスから「支払い期日延長」を報せるメッセージ、ハガキなどが届きます。
支払い期日は10日ほど延長されますが、延滞料金などは発生しないとのことです。
またこの支払い期日にも応じない場合は、ハガキ、メール、電話などで1週間に1回程度のペースで督促が行われます。
「法的措置」という言葉が出てきたら要注意
本来の支払い期日から1か月(最初の支払い期日から3ヶ月以上)経つと、いよいよ危険が差し迫ってきます。
再三にわたる催促や督促に応じない場合、「法的措置」という言葉が現れるようになります。
法的措置とはその名の通り、裁判沙汰です。
商品を代わりに購入したのに、その代金を支払ってくれないのであれば当然「払ってほしい」と訴えますよね。
個人間でも大きなトラブルの火種となりますが、相手が企業でも同じです。
この場合は債権者であるGMOが個人に対して訴訟を起こしてきます。
内容証明郵便の送付
こうした訴訟を起こす前に、債権者は必ず「内容証明郵便」を送付します。
内容証明郵便とは、「いつ」「誰が誰に」「どんな内容」で郵便物を送ったか、ということを郵便局が証明してくれるものです。
内容証明郵便には「あなたはこれだけの期間、代金の支払いをしていませんので支払いをしてください」ということが記載されています。
代金の支払いをしていない場合、これは事実に基づく証拠品です。
後に裁判を起こすときにも利用できますので、債権者は必ず送付します。
つまり、内容証明郵便は訴訟を起こしたときにも証拠として扱われる文書です。
訴訟を起こされ敗訴…
ZOZOTOWNのツケ払いが裁判沙汰になった、というケースは、2017年6月段階で確認できませんでした。
一般的に後払いができなくなった場合、最終的には「少額訴訟」という裁判になる可能性が高いです。
少額訴訟は60万円以下の支払い督促を行う場合に利用されます。
控訴することはできませんし、支払い不履行の事実があるので敗訴するでしょう。
判決に従わないため強制執行が行われる場合には、車や預金口座、給与などが差し押さえられることになります。
より悪質な延滞を繰り返していた場合、被害届を提出され、詐欺罪として逮捕される恐れもあります。
信用情報に「異動情報」が残ります!
こうした支払いの延滞を繰り返すことで、裁判沙汰となってしまうことと同じくらい恐ろしいことがあります。
それは、「個人信用情報機関に事故情報が登録」されることです。
GMOペイメントゲートウェイ(株)は、大手信用情報機関のひとつであるJICCに加盟しています。
参考:https://www.jicc.co.jp/cgi-bin/membersearch.cgi?c=head&d=%e3%82%b7
長期間に及ぶ支払いの延滞、滞納があった場合、これらの信用情報機関に「これだけの期間滞納をした」という記録がなされます。
こうした記録は最低でも5年間保持され、滞納分を支払った後に時間が経過するまでは消滅させることができません。
このように金融履歴(クレジットヒストリー)に傷がつくことを、「ブラックリストに載る」と言ったりします。
こうして個人信用情報機関に事故情報が登録されると、以下のようなことができなくなります。
- 新規でクレジットカードを作れなくなる
- 新しくローンを組んで商品を購入できなくなる
- 貸金業者からお金を借りられなくなる
- 場合によっては賃貸契約の審査に通らなくなる
クレジットカードがないからツケ払いを利用したのに、それを滞納してクレジットカードが作れない…なんて本末転倒です。
ツケ払いの代金が払えないときの対応策
それでは、ZOZOTOWNのツケ払いが支払えないときにはどのような対応策が考えられるのでしょうか。
- 家族に正直に話し、支払ってもらう
- 請求書に記載されている電話番号に連絡する
- 日雇いバイトで稼いで払う
家族に正直に話し、支払ってもらう
10代の学生も利用しているZOZOTOWN。
与信審査に通ってしまえば、54,000円までの買い物ができるので、つい羽目を外してしまう方も少なくありません。
学生にとって月の54,000円は大金です。
アルバイトで給料があるとはいえ、2か月も余裕があるとつい他のことに使ってしまいます。
支払いを忘れていた、あるいは支払えない…と分かった段階で、家族に相談してください。
叱られてしまうことは当然です。
ですが、金融実績に傷がついたり、督促されて裁判を起こされたりするよりはよほど良いでしょう。
請求書に記載されている電話番号に連絡する
どうしても払えない時には、送られてきた請求書に記載されている電話番号に連絡してください。
事前に連絡をして支払い期日を伸ばしてもらうか、あるいは無視して督促を受けるかでは相手の心証が大きく異なります。
借金が返済できないときも必ず事前に連絡し、相談をすることでその後の対応にも違いが出るものです。
支払えない、と分かった早期段階での誠実な対応をきちんと身に着けておくようにしてください。
日雇いバイトで稼いで払う
このGMOペイメントサービスの上限額は54,000円です。
月のバイト代を貯めれば…と思っていても、なかなか上限いっぱいまで利用すると厳しい金額と言えるでしょう。
そんなときは休日限定の日雇いのバイトなどを活用してみてください。
支払い期限は2か月ありますから、すべての土日をバイトで消化するくらいの気持ちで取り組めばなんとか確保できるでしょう。
まとめ:「ご利用は計画的に」はツケ払いにも言えること。大事になる前に仕組みを知ろう
ZOZOTOWNのツケ払いそのものは本当に便利なサービスです。
クレジットカードを持たない、持ちたくない方にとっては画期的なシステムと言えるでしょう。
ただ多くのサイトでは「2か月後に払えないようであれば利用しないように」という注意喚起がなされています。
このページでご紹介したような後払いに関する仕組みや、滞納した時の顛末などを知らずに利用しているのであれば、今すぐにでも取り止めてください。
長い人生、いつどこでまとまったお金が必要になるかわかりません。
「2か月後なら一括で払えそう」という考えにどこまで根拠あるのか、まずは深呼吸して考えてみましょう。
自信がないなら利用を控える方が安心です。
監修者:福谷陽子 元弁護士 ライター >プロフィールはこちら |